新型コロナウイルスをきっかけとして、テレワークやリモートワークを導入する企業が増加しています。社員からは「通勤時間がない」、「自分や家族の時間が取りやすい」と好意的な意見が寄せられる一方で、企業はさまざまな課題を抱えています。そのひとつが、リモートワークにおける情報共有の問題です。リモートワークでは、対面でのやりとりが制限されるため、オフィスワークよりもコミュニケーションの機会が減少します。リモートワークにおける情報共有を効率化するためには、ペーパーレス化の推進やナレッジ共有システムの導入などが必要です。この記事では、リモートワークで発生しがちな情報共有の課題や、情報共有を効率化するコツ、ナレッジ共有システムを選ぶときのポイントを解説します。
目次
リモートワークで発生しがちな情報共有の課題
総務省の令和4年版情報通信白書によると、日本の企業の27.2%が何らかの形でテレワークやリモートワークを経験しています。しかし、リモートワークの導入にあたって、さまざまな課題に直面する企業も少なくありません。[注1]
課題 | 課題を感じた企業の割合 |
テレワークに必要な端末等の整備 | 51.9% |
セキュリティの確保 | 51.6% |
通信環境の整備(通信速度や回線の不足等) | 44.3% |
テレワークをする社員の労働時間の管理 | 44.2% |
社内コミュニケーション不足、情報共有の困難 | 36.7% |
テレワーク業務に関する就業規則の整備 | 35.9% |
個々の従業員による業務の進捗管理 | 33.9% |
テレワークをする社員への指示・指導・評価 | 33.8% |
書類へのサインや捺印ができないことによる業務への支障 | 28.5% |
文書の電子化が進んでいないことによる業務への支障 | 28.0% |
取引先や顧客への対応 | 22.8% |
テレワーク化する業務や対象となる社員の選定 | 20.5% |
テレワーク導入・維持に対応できる人材の不足 | 13.4% |
テレワークに必要な場所の確保 | 11.5% |
その他 | 1.7% |
特になし | 4.8% |
上記の調査では、36.7%の企業がリモートワークの課題として「社内コミュニケーション不足、情報共有の困難」を挙げています。ここでは、リモートワークにおける情報共有の課題や、リモートワークで情報共有が難しくなる理由を簡単に解説していきます。
コミュニケーションの機会が減少する
リモートワークの課題のひとつが、コミュニケーション機会の減少です。総務省がテレワーカーに行ったアンケート調査でも、11.9%の人が「相手とコミュニケーションを取りづらい」と回答しています。[注1]
オフィスワークの場合は、直接声をかけたり、会議やミーティングの機会を設けたりして、その場で情報を共有することができました。しかし、リモートワークでは対面で直接話す機会が少ないため、お互いに情報を発信しづらくなります。
[注1]総務省:令和4年版情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r04.html
業務の進捗管理が難しくなる
リモートワークでは、社員がそれぞれの自宅などで働くため、お互いの仕事ぶりがわかりません。業務の進捗状況がわからず、チーム単位での進捗管理が難しくなります。また、リモートワークでは気軽な質問や相談もしづらくなります。そのため、勝手な判断で仕事を進める社員が増加し、生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。
社員への指示や指導に支障が出る
リモートワークは、上司と部下のコミュニケーションの取り方にも影響を与えます。総務省の調べにおいても、33.8%の企業が「テレワークをする社員への指示・指導・評価」を課題に挙げています。[注1]
リモートワーク環境では、部下が仕事でつまずいたり、トラブルに巻き込まれたりしたときのフォローも遅れやすくなります。リモートワークを導入するときは、情報共有を効率化するための仕組みづくりに取り組みましょう。
リモートワークにおける情報共有を効率化するコツ
リモートワークにおける情報共有を効率化するコツは2つあります。
- ナレッジ共有システムを導入する
- 必要に応じて出社日を設定する
リモートワークでは対面でのやりとりが制限されます。社内文書のペーパーレス化や、ナレッジ共有システムの導入により、オンライン(非対面)で情報共有を行う仕組みづくりが必要となります。また、コミュニケーションの活性化のため、必要に応じて出社日を設定する企業も存在しています。
ナレッジ共有システムを導入する
ナレッジ共有システムは、業務効率化につながる知恵やノウハウを蓄積し、効率よく共有するためのツールです。リモートワークに適したナレッジ共有システムには、たとえば以下のようなものがあります。
ビジネスチャットツール | チャット形式でコミュニケーションを取り、リアルタイムに情報共有できるツール |
オンラインストレージ | データやファイルをクラウド上にアップロードし、共有するためのツール |
FAQ管理システム | 業務に関する知識をQ&A形式でまとめ、一元管理するためのツール |
社内Wiki | ナレッジをWiki形式で公開し、誰でも編集できるようにするツール |
社内コミュニケーションを活性化したい場合はビジネスチャットツール、業務に関する知識を共有したい場合はFAQ管理システムや社内Wikiの導入がおすすめです。また、オンラインストレージを導入すれば、資料や社内文書をペーパーレス化し、クラウドを通じて共有できます。
必要に応じて出社日を設定する
完全にテレワークやリモートワークを導入するのではなく、週に1回程度の出社日を設ける企業も増えてきました。出社日を設定する理由は、対面でのやりとりと非対面でのやりとりを使い分けるためです。オンライン(非対面)でのやりとりは、相手の表情やジェスチャーが伝わりづらく、非言語的なコミュニケーションに適していません。たとえば、社員から相談を受けたり、個人面接を行ったりする場合は、相手の感情が伝わりやすい対面でのやりとりの方が適しています。適度に対面でのコミュニケーションをとり入れることで、社員のストレス解消にもつながります。
リモートワークでナレッジ共有システムを導入するときのポイント
リモートワークでナレッジ共有システムを導入するときのポイントは2つあります。操作が簡単でサポート体制が充実しているツールを導入することで、社員に使われるようになります。
操作が簡単なツールを選ぶ
ナレッジ共有システムを使用するユーザーは現場の社員です。豊富な機能が揃ったツールを選ぶことも大事ですが、それよりも、操作が簡単で使いやすいツールの方が現場の社員に好まれます。
- 操作方法が直感的に理解できるツールか
- レスポンシブデザインなど、スマートフォンに対応したデザインか
- 共有した情報を検索する機能があるか
- 無料デモや無料トライアルで操作性を確認できるか
初めてナレッジ共有システムを導入する場合は、上記の条件を満たすツールを選びましょう。
サポート体制が充実したツールを選ぶ
ナレッジ共有システムを導入する際は、専任のスタッフがつくなど、サポート体制が充実したツールを選ぶことも大切です。「操作方法がわからない」、「初期設定の方法がわからない」といった困りごとの解決はもちろん、導入後の運用サポートを受けられるツールも存在します。
【まとめ】
リモートワークの情報共有にはナレッジ共有システムがおすすめ
リモートワークでは、対面でのやりとりが制限されるため、情報共有が不足しがちです。また、オフィスワークと違って社員一人ひとりに目が行き届かないため、業務の進捗状況を把握するのも難しくなります。リモートワークの情報共有の課題を解決するのが、社内WikiやFAQ管理システム、グループウェアなどのナレッジ共有システムです。ナレッジ共有システムを導入するときは、操作が簡単で使いやすい製品を選びましょう。また、サポート体制が充実したツールを選ぶことも大切です。