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業務の属人化が生じる原因や解消方法における
3つのポイントを詳しく紹介

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業務の属人化とは、特定の業務のやり方や進め方が特定の担当者しかわからない、他の人にとっては何をしているのかわからない、などブラックボックス化してしまう状態を意味します。業務が属人化すると、担当者の急な休暇や不在時に業務を進められず、業務効率を大きく低下させることになりかねません。退職時の引き継ぎも通常以上に工数が生じてしまいます。また、日本経済団体連合会の調査によって、業務の属人化は長時間労働とも関係があることがわかっています。業務が属人化する原因を知り、社内マニュアルの作成や情報共有の仕組みづくりなどに取り組み、職場慣行を改善していくことが大切です。この記事では、属人化の原因や解消方法について解説します。

業務が属人化する3つの原因


「担当者の○○さんがいないから業務が進められない」、「○○さんの意見を聞かないと何をすれば良いかわからない」など、業務の属人化が進んでいる企業が少なくありません。業務が属人化する原因は大きく分けて3つあります。

担当者が日々自分の仕事に追われている

業務が属人化する原因としてもっとも多いのが、担当者が自分の仕事に追われているケースです。個々の案件対応やノルマ達成にリソースの大半を使ってしまい、ナレッジやノウハウを周囲に共有する余裕がないことから、業務の属人化がどんどん進行します。とくに人員の余裕がない中小企業では、ワンオペ状態で業務を進めた結果、業務が完全にブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。

情報共有の仕組みがない

情報共有の仕組みがないケースも属人化を招く原因の1つです。もし、担当者にナレッジやノウハウを共有し、業務を標準化する意欲があっても、情報共有をするためのツールがなければ余分な作業工数がかかり、情報共有もうまくできません。とくに繁忙期など業務量が増えるシーズンでは、なかなか自分の業務外のことにまで手が回りません。業務の合間に手軽に情報共有できるようなITツールを導入することで、ナレッジやノウハウの共有を促進できます。

業務内容の専門性が高い

業務内容の専門性が高く、知識やスキルの習得に時間がかかる場合も、業務の属人化が進行します。とくにサーバーやネットワークの設計、情報セキュリティ対策、機械学習やデータ解析などのAI利用といったIT分野や、製造業などに多い熟練者の勘・コツは技能伝承が容易ではありません。担当者の育成や教育システムの整備に時間がかかるため、業務の属人化が進みやすくなります。

属人化によって生じる3つのリスク

業務の属人化が進むと、どのようなリスクが生じるのでしょうか。ここでは、属人化のデメリットを3つ紹介します。

業務効率が低下する

属人化によって生じる最大のリスクは、業務がブラックボックス化し、業務効率が低下するリスクです。業務の属人化が進むと、業務効率は担当者の資質やスキルに大きく依存します。そのため、担当者が最適なワークフローで業務を行っていない場合、業務効率が低下するリスクがあります。また、担当者が退職したり、病欠した場合、代わりの社員に業務の進め方ややり方が伝わっておらず、業務が滞る恐れもあります。社内のナレッジ共有を促進する仕組みをつくることで、成功法則やベストプラクティス、ナレッジやノウハウを共有し、業務効率を大きく高めることができます。

長時間労働につながる

業務の属人化は、長時間労働とも無縁ではありません。特定の担当者にしかこなせない業務がある場合、その担当者の業務負担が増加し、残業や休日出勤の慢性化につながります。実際に日本経済団体連合会の「2017年労働時間等実態調査」によると、「長時間労働につながりやすい職場慣行」として最多の集計結果となったのが、「業務の属人化(27.3%)」です。[注1]

[注1] 日本経済団体連合会:2017年労働時間等実態調査
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/055.pdf

貴重なナレッジやノウハウが失われる

業務が属人化すると、ナレッジやノウハウが蓄積されづらくなります。ワンオペ状態で業務を担当していた社員が退職した場合、代わりの社員が業務内容をわかっていないだけではなく、これまでに蓄積されたナレッジやノウハウも失われ、外部に流出します。終身雇用制度が崩壊し、転職やキャリアアップを考える社員が増えるなかで、人材の流出リスクに備え、貴重なナレッジやノウハウを蓄積する仕組みづくりが求められています。

属人化のメリットは?標準化しない方が良いケースも

一方、業務の属人化はデメリットばかりではありません。あえて業務の属人化を進め、スペシャリストを育成することで得られるメリットもあります。とくに高度な知識や技能を必要とする専門性の高い業務は、担当者の育成や教育システムの整備にコストがかかります。無理にジェネラリストを育成するのではなく、スペシャリストの育成をしスキルを活かすことで、かえって業務効率化につながるケースも少なくありません。また、特定の業務へのコミットメントを高めることで、知識や技能を集中して習得でき、社員の成長につながるといった側面もあります。とはいえ、事業規模が拡大し、社員の数が増えるほど業務がブラックボックス化する危険性が高まってしまうため、属人化すべき業務と標準化すべき業務を仕分け、標準化すべき業務に対しては、ナレッジ共有の基盤をつくることが大切です。

属人化を解消するための3つのポイント

業務の属人化を解消するためには、どのような対策が有効なのでしょうか。ここでは、属人化に悩む企業向けに3つの解消方法を紹介します。

まずは既存業務の棚卸しから

まずは既存業務の棚卸しを行い、属人化が進行している業務を見つけましょう。とくに見直しが必要な業務は次の3つです。

  1. バックオフィス業務
  2. 社内外の問い合わせ対応
  3. セキュリティインシデントの対応

人事部門や総務部門などのバックオフィス業務は、定型業務が多く、標準化しやすい業務の一つです。また、顧客の問い合わせ対応や社内ヘルプデスク業務、セキュリティインシデントの対応などの業務は、担当者によって独自のやり方が生まれることがあり、業務がブラックボックス化している可能性があります。この3つの業務を中心に棚卸しを行い、業務の標準化に向けて取り組みましょう。

社内マニュアルを作成し、業務を標準化する

業務の標準化に役立つのが、社内マニュアルの作成です。既存の業務フローを見直し、冗長で非効率な工程を省いて、業務の仕組み化・マニュアル化を進めましょう。社内マニュアルを共有することで、担当者がいない状況でも代わりの社員がマニュアルを参照し、問題なく業務をこなせます。また、社内マニュアルを作成することで、新しい社員が入社した際の人材の即戦力化や人事異動や退職に伴う引き継ぎ工数の削減につながるというメリットもあります。

ナレッジ共有システムを導入し、情報共有を促進する

情報共有の仕組みをつくることも属人化の解消に欠かせません。業務に必要なノウハウやナレッジを共有し、社員がいつでも閲覧できるようにすることで、特定の担当者のスキルに依存しない強固なチームづくりが可能です。ナレッジ共有システムとして活用できるものとして、たとえばFAQ管理システムがあります。ナレッジをよくある質問(FAQ)の形で整理し、社内ポータルやイントラネットから検索できるようにすることで、社員が必要な情報を必要なときに手に入れることができます。

【まとめ】

業務が属人化する原因を知り、課題解決のためにITツールの導入を

業務が属人化すると、業務効率の低下や長時間労働の慢性化につながります。属人化が進む原因を知り、課題解決に向けて取り組むことが大切です。また、業務の属人化を防ぐのに役立つのが、ITツールの導入です。ナレッジ共有システムやFAQ管理システムを導入し、知識やノウハウの共有を促進しましょう。

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