仕事のミスが多い社員には、いくつか共通点があります。ミスが多い社員が抱えている問題を知り、社員のタイプに合った指導方法を選ぶことが大切です。たとえば、段取りが悪い社員や、業務の正しい進め方を知らない社員の場合、仕事内容を細分化して優先順位付けを行いましょう。ミスを改善した社員はきちんと褒めることで、ポジティブな意識付けが可能です。この記事では、ミスが多い社員の4つの共通点や、社員のミスを減らす方法をわかりやすく解説します。
目次
ミスが多い社員の特徴
仕事のミスが多い社員には4つの特徴があります。
- 人の話を聞いていない
- 報連相ができない
- メモをきちんととっていない
- 自分のミスを反省しない
社員によって、仕事のミスをしてしまう原因が違います。社員に直接指導する前に、仕事のミスをする原因を把握することが大切です。
人の話を聞いていない
ケアレスミスが目立つ社員に多いのが、相手の話をしっかりと聞いていないタイプです。仕事の指示や連絡事項を真剣に聞いていないため、仕事中のミスが増加します。一件、真剣に話を聞いているように見えても、実は指示内容をきちんと理解していないタイプの社員もいます。どうしても社員の態度が改善しない場合は、指示内容を相手に復唱させ、理解できているかどうかチェックするといった対処をしましょう。
報連相ができない
報連相(ほうれんそう)ができない人も仕事中のミスが多くなります。報連相は、文字通り「報告・連絡・相談」の3つの頭文字をとったビジネス用語です。報連相が円滑にできない人は情報共有が疎かになり、業務に支障をきたします。
- 同じチームに対し、業務に必要な情報を伝えていない
- 自分が今、どこで何をしているか上長に報告していない
- 仕事内容でわからないことがあっても周囲の人に確認しない
報連相はビジネスパーソンの基本マナーでもあります。特に社会人になりたての社員の場合は、ビジネスパーソンとして報連相を徹底するように伝えましょう。
メモをきちんととっていない
仕事中のミスが多い人は、メモをきちんととっていない場合がほとんどです。その場では指示内容を理解できていても、時間が経つと段取りを忘れてしまい、仕事を自己判断で進めてミスを起こします。また、「メモをとる字が汚い」、「メモに書く情報が整理されていない」など、メモの取り方に問題があるケースもあります。「メモをきちんととること」、「メモに書く情報を取捨選択すること」の2点を徹底すれば、仕事中のミスを減らすことが可能です。
自分のミスを反省しない
自分のミスを反省しない社員は、繰り返し同じミスをします。こうしたタイプの社員は、ミスをしたときに反省し、改善点を探す習慣を身につける必要があります。
ミスが多い社員への指導方法
ミスが多い社員に対し、どのように指導すればよいのでしょうか。ここでは、社員のケアレスミスを改善するための3つの指導方法を紹介します。
社員の仕事内容を細分化する
仕事の段取りが悪い社員や、指示を出しても聞かない社員に対しては、仕事の指示をなるべく細分化して伝えるようにしましょう。たとえば、「報告書を作成する」という指示を出すのではなく、「報告書に記載する項目を洗い出す」、「報告書の作成に必要な資料を用意する」とタスクを細かく切り分けて伝えます。仕事の段取りが苦手な社員でも、タスクを細分化すれば優先順位を考え、効率的に仕事をこなすことが可能です。また、「どのタスクをうまくこなせたか」、「どのタスクを苦手としているか」が可視化されるため、アドバイスをしやすくなります。
上司からも積極的にコミュニケーションをとる
報連相ができない社員や、人の話をあまり聞かない社員に対しては、上司からも積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。社員によっては、「ミスに対する恐怖症があり、萎縮している」、「新しい職場に慣れておらず、キャパオーバーに陥っている」など、心理的な要因でミスを起こしている場合があります。社内のコミュニケーションを増やし、社員が疑問や悩みを抱えている場合は乗り越えられるようにサポートしましょう。
ミスを改善した社員をきちんと褒める
ミスを改善した社員はきちんと褒めることが大切です。社員にポジティブな言葉をかけると「ピグマリオン効果」が働きます。ピグマリオン効果は心理学の用語で、他者に期待されると、期待通りの成果を出したくなるという心理状態を表す言葉です。ミスを改善した社員を褒めつづけることで、「自分はミスをしない」というセルフイメージが生まれ、仕事中のケアレスミスが減少します。
ミスが多い社員と接するときの注意点
ミスが多い社員と接するときに注意が必要なのが「パワハラ(パワーハラスメント)」です。「大声で怒鳴る」、「相手の人格を否定する」といったパワハラにならないよう、指導の仕方を見直しましょう。厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを6つに分類しています。[注1]
- パワハラの6類型
類型 | 例 |
①身体的な攻撃 | 叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩かれる。 |
②精神的な攻撃 | 同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。 |
③人間関係からの切り離し | 1人だけ別室に席をうつされる。強制的に自宅待機を命じられる。ある社員のみ意図的に会議や打ち合わせに出席させない。 |
④過大な要求 | 新入社員に仕事を押しつけて、他の同僚は先に帰ってしまった。 |
⑤過小な要求 | 運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。開発職として採用されたのに1度もプロジェクトに参加させてもらえず、雑用業務ばかり命じられる。 |
⑥個の侵害 | 交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。 |
また、ミスが多い社員を叱りつけたり、罰則を与えたりすると、「ピグマリオン効果」とは逆にミスが増加するリスクもあります。社員のミスを未然に防止したい場合は、ナレッジ共有システムの導入もおすすめです。ナレッジ共有システムは、社内のナレッジを一元管理し、社員が検索できるようにしたシステムです。ナレッジ共有システムを導入すれば、仕事でわからないことがあった際、いつでもどこでも調べられるため、ミスの減少につながります。
[注1] 厚生労働省:「ハラスメント基本情報」ハラスメントの類型と種類
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/
【まとめ】
ミスが多い社員の4つの特徴を知り、ナレッジ共有システムなどのツール導入を
仕事のミスが多い社員には、「人の話を聞いていない」、「報連相ができない」「メモをきちんととっていない」、「業務の正しい進め方を知らない」、「自分のミスを反省しない」の5つの共通点があります。社員の特徴に合わせて指導方法を変えることが大切です。社員のミスが多いからといって、大声で怒鳴ったり、相手の人格を否定したりするのはNGです。悪質な指導の場合、パワーハラスメント事案に発展する恐れがあります。また、ミスが多い社員を執拗に叱責すると「自分はミスが多い」というセルフイメージが生まれ、逆効果になる可能性もあります。社員のミスを減らしたい場合は、分からないことをいつでも調べられるよう、ナレッジ共有システムなどのツール導入も検討しましょう。