従業員一人ひとりが抱えている知識を、部署や会社に共有・還元するナレッジマネジメントは、さまざまな本で論じられています。そのため、どの本を読めばよいか判断がつかないケースもあるかもしれません。そこで今回は、ナレッジマネジメントの本で勉強できる内容や、おすすめの本を6冊紹介します。
目次
ナレッジマネジメントの本で勉強できる内容
ナレッジマネジメントについて書かれた本では、ナレッジマネジメントの考え方や知識の共有方法、重要性、メリットなど、ナレッジマネジメントを学ぶうえで必要な要素を把握できます。ナレッジマネジメントは暗黙知を形式知にすることをいい、4つの手法で共有されます。ナレッジマネジメントの重要性やメリットを紹介します。
ナレッジマネジメントは個人に蓄積された知識を言葉や文章などで共有すること
ナレッジマネジメントは次の2つから構成されています。
- 暗黙知:個人に蓄積されている知識
- 形式知:データをはじめ言葉や文章で表現された知識
ナレッジマネジメントとは自分だけが理解している知識を、形式知としてアウトプットして社内で共有することを意味します。暗黙知を形式知として共有することで、従業員全体の知識が深まっていくでしょう。
ナレッジマネジメントには4つの手法がある
ナレッジマネジメントは次の4つの手法があります。
ベストプラクティス共有型 | 社内の成功例を共有して業務の改善を図る |
専門知識ネットワーク型 | 専門知識のDB化や専門知識を有する従業員をつなげて課題解決のスピードアップを図る |
顧客知識共有型 | 顧客データを一元化して顧客サービスの向上化を図る |
知的資本集約型 | 特許や製造技術、営業ノウハウなどを集約して収益アップを図る |
どの手法にも特徴があるため、自社がナレッジマネジメントを行う理由を考えて、最適なものを選びましょう。たとえば、営業部門を改善したいのであれば、「ベストプラクティス共有型」によって優秀な社員のノウハウを共有することで、営業担当者のスキルの均一化が期待できます。
ナレッジマネジメントの重要性
ナレッジマネジメントが重要視されるようになったのは、企業を取り巻く環境の変化にあると考えられています。総務省によれば、15~64歳の生産年齢人口は2065年に約4,500万人になると予想されています。[注1]
2020年と比較すると、約2,900万人も減少します。このように働き手が減少していくのに加えて、副業を容認する企業が増えるなど働き方は多様化している状況です。そのため、企業は従業員一人ひとりが持っていた暗黙知を形式知として蓄積し、人手不足や環境の変化に対応していく必要があります。その結果、さまざまな企業でナレッジマネジメントが重要視されてきています。
[注1]総務省「人口減少と少子高齢化」
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/2zen2kai1-2.pdf
ナレッジマネジメントを導入するメリット
ナレッジマネジメントによって知識が共有されることで、業務のばらつきが解消され、高いクオリティを保てます。また、不要な業務を洗い出せるため、業務の効率化が図れます。ナレッジマネジメントは人材育成にも効果を発揮します。蓄積された知識に基づいて新入社員を教育することで、効率的に育成を行えるでしょう。
ナレッジマネジメントに役立つ本おすすめ6選
ナレッジマネジメントについて書かれた本はいくつもあります。ここでは、その中からおすすめの6冊を紹介します。
『リクルートのナレッジマネジメント』
株式会社リクルートのナレッジマネジメントを紹介しているのが、『リクルートのナレッジマネジメント』です。本書ではナレッジマネジメント導入から体系化、運用までを時系列で紹介しています。「現場からナレッジがあがってこない」、「共有したナレッジが活用されていない」といった、ナレッジマネジメントで起こり得る問題点についても取りあげているため、実践向きの本といえます。
『「経験知」を伝える技術』
暗黙知にフォーカスを当てているのが『「経験知」を伝える技術』です。本書ではナレッジを活用する方法やコミュニケーションの中でナレッジがどのように伝わっていくかなどを分析しています。
『ナレッジ・マネジメント5つの方法―課題解決のための「知」の共有』
『ナレッジ・マネジメント5つの方法―課題解決のための「知」の共有』では、知識の共有を知識移転と定義して、知識の共有方法について解説しています。実際の企業のナレッジマネジメントについても紹介しているため、わかりやすいでしょう。
『知識創造企業』
ナレッジマネジメントのフレームワークを考案した野中郁次郎著の本作では、さまざまな観点からナレッジマネジメントについて論じられています。日本を代表する自動車や家電のメーカーが、国際競争に負けず活躍した理由を知識という側面から考察>しています。
『今日からできるナレッジマネジメント』
10社のナレッジマネジメントの導入事例に基づいて、ナレッジマネジメントについて解説しているのが本書です。他の書籍と比較して、より入門的な内容になっています。
『企業法務におけるナレッジ・マネジメント』
ナレッジマネジメントについて記した書籍の中でも、本書は企業法務におけるナレッジマネジメントを解説している一冊です。業種に特化しているため、より具体的な実践方法が記されています。
【まとめ】
ナレッジマネジメントはシステムを使うのもおすすめ
ナレッジマネジメントについて書かれた本はいくつもあります。これらの本は実例を交えて解説しているため、ナレッジマネジメント導入時の注意点やメリットなどがより具体的に把握できます。ナレッジマネジメントを把握して実践に移す場合は、ナレッジマネジメントシステムの活用がおすすめです。ナレッジマネジメントシステムであれば、煩雑になりがちな情報の管理をシンプルに行えます。また、ナレッジマネジメントシステムは関連システムと連携することで、ナレッジをより効果的に活用できるようになります。