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ノウハウとは?
ビジネスでの活用方法や類義語まで解説

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他社にはない技術やベテラン社員の持つ経験・知識など、企業競争力の源泉となる情報や経験をノウハウ(Know-how)と呼びます。ノウハウは企業の大切な知的財産のひとつです。ノウハウを蓄積・共有すれば、業務効率化の実現や生産性の向上につながります。ノウハウの定義や、ビジネスシーンにおける活用方法を知り、ノウハウを蓄積・共有するための仕組みづくりに取り組みましょう。この記事では、ノウハウの定義や類義語、活用例について解説します。

ノウハウとは


ノウハウ(Know-how)とは、専門的な知識や経験を集積し、知的財産として見える化したものを指す言葉です。デジタル大辞泉によると、ノウハウは以下の通り定義されています。[注1]

  • ある専門的な技術やその蓄積のこと。「仕事の―をおぼえる」
  • 技術競争の有力な手段となり得る情報・経験。また、それらを秘密にしておくこと。

[注1] デジタル大辞泉(小学館):「ノウハウ」の意味
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%82%A6/

ビジネスにおけるノウハウ

ビジネスシーンにおいては、ノウハウは企業競争力を確保するための「知的資産」の一種として捉えられています。ただし、知的資産といっても定義の幅は広く、ノウハウ以外の「組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産」も知的資産に含まれます。[注2]

知的資産 知的資産 人的資産、組織力、経営理念、
顧客とのネットワーク、技能等
知的財産 ブランド、営業秘密、ノウハウ等
知的財産権 特許権、実用新案権、著作権等

たとえば、製造工程で使う独自の技術や、営業部門が培ったベストプラクティスなど、自社の強みとなる情報や経験のことをノウハウと呼ぶ傾向にあります。また、ビジネスシーンにおけるノウハウは、知的財産を公開する代わりに法的な保護を受ける「特許」と区別されます。[注3]

特許権は、ご承知のように排他的独占権を持つ極めて強い権利ですが、この強い権利が与えられる代償として、その発明は世の中に広く公開されます。従って、誰しもが発明の内容を知ることになりますので、模倣される危険性もあります。

一方、ノウハウは、完全に秘匿されれば誰にも知られず模倣されることもありませんが、そのためにはノウハウを厳格に秘密管理する必要があります。

つまり、企業競争力の源泉となる情報や経験のなかでも、対外的に公開するのではなく、秘匿性が高いものがノウハウに該当します。

[注2] 経済産業省:知的資産・知的資産経営とは
https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/teigi.html
[注3] 東京都知的財産総合センター:中小企業経営者のためのノウハウの戦略的管理マニュアル
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/knowhow/knowhow_all.pdf

ノウハウの類義語

ノウハウとよく似た言葉として、ナレッジやスキル、ハウツー、企業秘密などがあります。ノウハウと間違われやすい類義語の定義も確認しておきましょう。

ナレッジ

ナレッジ(Knowledge)とは、有用な知識や情報の総称です。この記事で取り上げたノウハウもナレッジに含まれます。デジタル大辞泉によると、ナレッジという言葉には以下のような意味があります。[注4]

  • 知識・情報。
  • 企業などの組織にとって有益な知識・経験・事例・ノウハウなど付加価値のある情報。

ノウハウをはじめとした知識や経験を蓄積し、企業全体で共有する取り組みをナレッジマネジメントと呼びます。ビジネスシーンにおいては、ナレッジよりも専門的な知識や経験のことをノウハウと呼ぶ場合があります。

[注4] デジタル大辞泉(小学館):「ナレッジ」の意味
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8/

スキル

スキル(Skill)とは、「手腕。技量。また、訓練によって得られる、特殊な技能や技術」を指す言葉です。[注5]
企業競争力を高める資産のなかでも、手を動かす性質のものや、訓練を必要とするものをスキルと呼びます。

[注5] デジタル大辞泉(小学館):「スキル」の意味
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB/

ハウツー

デジタル大辞泉によると、ハウツー(How to)とは「やり方。方法。特に、実用的な方面での方法や技術」という意味があります。[注6]
専門的な知識や情報を表すノウハウに対し、ハウツーはHow to(どのようにするか)という由来の通り、より実用的な情報資産を指します。たとえば、なんらかの方法論やテクニックを解説したビジネス書のことを「ハウツー本」と呼ぶことがあります。

[注6] デジタル大辞泉(小学館):「ハウツー」の意味
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%83%84%E3%83%BC/

営業秘密

営業秘密とは、企業が保有している発明やノウハウのうち、不正競争防止法によって守られている知的財産を指す言葉です。[注3][注7]
「営業秘密」とは、企業秘密として扱っている情報の中で、不正競争防止法に基づく要件(秘密管理性、有用性、非公知性)を満たすものが該当するといえます。

秘密管理性 営業秘密保有企業の秘密管理意思が、秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要があります。
有用性 当該情報自体が客観的に事業活動に利用されていたり、利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであること。
非公知性 保有者の管理下以外では一般に入手できないこと。

通常、特許を出願していないノウハウは特許法に保護されず、競合他社に模倣される危険性があります。しかし、不正競争防止法で定められた「秘密管理性、有用性、非公知性」の3つの要件を満たす場合は、営業秘密として他社の模倣や権利侵害から保護されます。

[注7] 経済産業省:営業秘密~営業秘密を守り活用する~
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

ノウハウの活用例

ノウハウの具体例な活用例として、たとえば以下のような知的財産が挙げられます。[注3]

技術上の情報 ノウハウとして秘匿することを決めた発明、製造技術・製造ノウハウ、設計図・設計図書、製品仕様書、製造原価計算書、各種実験データ、製品開発研究レポート
営業上の情報 顧客名簿・顧客情報、販売マニュアル、仕入先リスト、販売価格の要件、経理・財務データ(未公表のもの)、市場動向調査報告書、営業戦略の立案・企画書等

たとえば、京都府宇治市の衣類メンテナンス企業は、過去の製品・作業データを分析し、繊維を傷めずに衣類を水洗浄する独自技術を開発しました。コア技術に関して特許権を申請し、その他の技術情報はノウハウとして秘匿することで、世界唯一の衣類洗浄サービスを実現しています。[注8]

[注8]秘密情報の保護ハンドブック〜企業価値向上に向けて〜
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/1706tradesec.pdf

企業がノウハウの蓄積・共有を行うべき理由

企業がノウハウの蓄積・共有を行うべき理由は2つあります。

  • 業務効率化や生産性向上を実現できる
  • 業務の属人化を解消できる

業務上有用な知識をノウハウとして蓄積することで、業務効率化や生産性向上を実現できます。また、社員が持つ知識や情報を企業全体で共有すれば、業務の属人化を解消することもできます。担当者の不在時や、休職・退職してしまった場合でも、他の従業員が蓄積したノウハウを活用し、スムーズに業務を進めることができます。しかし、紙の書類やホワイトボードなど、ノウハウを手作業で蓄積するのは時間も手間もかかります。ノウハウの蓄積・共有を効率的に行いたい場合は、FAQ管理システムやチャットボットシステムなどのノウハウ共有ツールの導入がおすすめです。

【まとめ】

ノウハウは企業競争力の源泉!ノウハウを蓄積・共有するための仕組みづくりを

ノウハウは企業競争力の源泉となる情報や知識を表す言葉です。ビジネスシーンにおいては、特許のように対外的に公開するのではなく、秘匿性の高い知的財産をノウハウと呼ぶ傾向にあります。ノウハウを蓄積・共有し、組み合わせて有効活用することで、収益力や競争優位性を確保することが可能です。ノウハウの定義や重要性を知り、知的財産を安全に管理するため、FAQ管理システムや社内wikiなどのノウハウ共有ツールを導入しましょう。

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