オペレーターが在宅で働く「在宅コールセンター」は、企業とオペレーターの双方にメリットがある事業形態です。「繁忙期に合わせ、柔軟に人員を調整したい」、「ファシリティコストを見直したい」、「オペレーターの離脱率を改善したい」といった悩みがあるコールセンターは、コールセンター業務のテレワーク化を検討しましょう。この記事では、在宅コールセンターを導入するメリットや、在宅コールセンターに欠かせないシステム化について詳しく解説します。
目次
在宅コールセンターを導入するメリットは?企業とオペレーターそれぞれの視点で解説
在宅コールセンターは、企業とオペレーターそれぞれにメリットのある事業形態です。企業側は柔軟な人員調整やファシリティコストの見直しを実現できます。また、オペレーター側は育児や介護との両立も可能です。ここでは、在宅コールセンターの導入を検討している企業向けに、コールセンター業務をテレワーク化するメリットを解説します。
企業側のメリット3つ
在宅コールセンターを導入する企業側のメリットは次の3点です。
- 繁忙期や閑散期に合わせ、柔軟に人員を調整できる
一般的に、コールセンターでは年末(11月〜12月)や年度末(1月〜3月)に繁忙期を迎えます。既存の人員では入電に対応しきれず、応答率や放棄率が悪化するコールセンターも少なくありません。勤務地にかかわらず働ける在宅コールセンターを導入すれば、繁忙期に合わせて全国からオペレーターを募集したり、閑散期にはオペレーターの数を調整したりと、柔軟に人員調整を行うことが可能です。
- ファシリティコスト(スペースコスト)の見直しにつながる
在宅オペレーターの割合を増やすことで、ファシリティコスト(スペースコスト)を削減できます。たとえば、繁忙期に合わせてオペレーターを臨時に増員する場合、採用人数によってはコールセンターの増床が必要なケースがあります。在宅コールセンターなら、原則として勤務場所はオペレーターの自宅となるため、ファシリティコストをかけずにオペレーターの席数を増やせます。
- 働き方改革を後押しし、オペレーターの離職率を改善する
人手不足に悩むコールセンター業界では、オペレーターを維持するため、離職率の改善が急務となっています。在宅コールセンターを導入すれば、オペレーターが時間や場所にとらわれず働けるようになるため、ワークライフバランスが改善します。働き方改革を後押しし、オペレーターの離職率を改善することが可能です。
オペレーター側のメリット3つ
在宅コールセンターを導入するオペレーター側のメリットは次の3点です。
- 場所や時間を選ばず、自分のペースで働ける
- 育児や介護と両立できる
- オフィス勤務よりも給与が高くなる可能性がある
オフィス勤務と違い、在宅勤務ならオペレーターが場所や時間を選ばず働くことができます。たとえば、「ダブルワークで働く」、「扶養控除内で働く」など、オペレーターの希望に合わせた働き方が可能です。オフィス勤務がメインのコールセンターの場合、育児や介護との両立が難しいという課題がありました。在宅コールセンターなら、育児や介護が必要になったときもキャリアを中断せず、仕事と両立しながら働けます。また、在宅コールセンターでは時給や固定給ではなく、「電話1本あたり○○円」、「契約1件あたり○○円」など、成果報酬型の給与形態を採用するのが一般的です。オペレーターのスキルや経験によっては、通常のオフィス勤務より給与が高くなる可能性があります。このように企業側とオペレーター側それぞれにメリットがあるのが在宅コールセンターです。
在宅コールセンターにシステム導入が必要な2つの理由
在宅コールセンターを導入する場合、コールセンター業務のシステム化が必要不可欠です。在宅コールセンターの課題として挙げられるのが、「応対品質の低下」、「コミュニケーション不足」の2点です。CTIやCRM、IVRなどのICT環境を整備すれば、在宅勤務であってもオフィス勤務とほぼ同等のレベルでコールセンター業務を行えます。コールセンターシステムの導入が必要な2つの理由を解説します。
応対品質を確保するため
在宅コールセンターの導入時に懸念されるのが「応対品質の低下」です。在宅コールセンターの場合、管理者がオペレーターの働きぶりや勤務態度をチェックしづらく、品質管理に時間がかかります。また、顧客対応時にトラブルやクレームが発生した場合、管理者がその場でアドバイスを行うのが難しく、顧客満足度が低下するリスクがあります。しかし、オンラインで利用可能なコールセンターシステムを導入すれば、応対品質の低下を抑制できます。コールセンターシステムでオペレーターの稼働状況をモニタリングし、応答率や放棄率、サービスレベル(SL)、平均応答速度(ASA)などのKPIを測定すれば、管理者がその場にいなくても応対品質を管理できます。IVRで問い合わせの振り分けを行うことで、オペレーターの平均通話時間などを改善し、機会損失の防止やリソースの最適化を図ることもできます。また、CRMを導入して顧客情報を蓄積したり、FAQ管理システムを導入してオペレーターがよくある問い合わせや定型的な回答、トークスクリプトを確認しやすくすることで、円滑な対応が可能になり、オフィス勤務とほぼ同等の応対品質を確保できます。
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コミュニケーション不足を解消するため
在宅コールセンターのもう1つの課題が「コミュニケーション不足」です。オペレーターが同じ職場で働くオフィスワークと違い、在宅勤務ではコミュニケーションが不足しがちです。顧客対応でわからないことがあった場合や、仕事で不満やストレスを抱えた場合、在宅勤務中は気軽に周囲の人に相談できません。オペレーターがストレスを抱えてしまい、早期離職につながる恐れがあります。そのため、在宅コールセンターを導入する場合は、チャットツールやWeb会議システムなど、コミュニケーションツールの導入も必要不可欠です。
なお、新型コロナウイルス対策などを目的として、初めてテレワーク環境を導入する企業の場合、国や地方自治体の「テレワーク助成金」を活用できます。在宅コールセンターの導入を検討している方は、コールセンター業務のシステム化に取り組みましょう。
コールセンターシステム導入時の注意点
コールセンターシステム導入時に注意が必要なのが、「費用対効果の分析」です。CTIやCRM、IVRなどのコールセンターシステムの導入や、在宅オペレーターへのPCや周辺機器の貸与など、在宅コールセンターを実現するには一定のIT投資が必要です。計画的にICT環境を整備しなければ、費用負担が雪だるま式に増加し、予算をオーバーする可能性があります。在宅コールセンターを導入する際は、まずコールセンター業務の棚卸しを実施し、現状の課題を洗い出しましょう。「どのようなコールセンターシステムを導入すれば、現状の課題を解決できるか」という視点から、システム環境を整備していくことが大切です。とくに在宅コールセンターを初めて導入する場合、システム導入の費用対効果を分析し、スモールスタートを心がける必要があります。
【まとめ】
コールセンター業務をシステム化し、在宅コールセンターを導入しよう
在宅コールセンターの導入は、企業側とオペレーター側それぞれにメリットがあります。企業側は繁忙期や閑散期に合わせた柔軟な人員調整や、オペレーターの離脱率の減少を実現できます。一方、オペレーター側は場所や時間を選ばないワークスタイルの実現や、育児や介護との両立が可能です。在宅コールセンターを導入するなら、CTIやCRM、IVRなどのICT環境の整備は必要不可欠です。在宅コールセンターの費用対効果を分析し、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。