FAQサイトは「作ったら終わり」ではなく、その後も定期的にメンテナンスを行うことが大切です。古い情報を新しく更新したり、FAQページへの導線やレイアウトを見直すことで、FAQサイトの使い勝手をさらに向上させられます。FAQサイトを改善するうえで役に立つのが、「0件ヒット率」、「クリックスルー率」、「問い合わせ率」などの指標です。この記事では、FAQサイトをメンテナンスする際の基本手順や、改善にあたって見るべきポイントについてわかりやすく解説します。
目次
FAQサイトを改善する前に確認!改善点を分析・評価する2つの方法
FAQサイトを改善するといっても、どのように改善点を見つければ良いのかわからない方も多いかもしれません。まずは、FAQサイトの改善点を明確にするための分析や評価方法を2つ紹介します。
顧客の声(VOC)を収集する
コールセンターやコンタクトセンターに寄せられる顧客の声(VOC)を収集し、そこからFAQサイトの改善点を見つけましょう。VOCは、問い合わせ記録の録音やテキストマイニングツールの使用、オペレーターからの聞き取り調査などによって収集します。IVRを用いたアンケートなどもおすすめです。
まず、VOCから問い合わせの頻度が高い項目を抽出し、すでにFAQコンテンツが掲載されているかどうかを確認しましょう。該当のFAQが存在しない場合は、新しくFAQを作成することで、今後の顧客の自己解決を促進し、問い合わせ件数の削減が期待できます。一方、すでに該当のFAQが存在するにもかかわらず、コールセンターへの問い合わせが多い場合、該当のFAQが本当に顧客の知りたい情報ではない可能性があります。VOCから顧客の本当のニーズを分析し、FAQの改善に取り組みましょう。
▶︎ VOC(顧客の声)とは?コールセンターでの収集や活用事例を詳しく紹介
FAQ管理システムを導入する
FAQサイトの分析や評価に役立つのが、FAQ管理システムです。FAQ管理システムには、FAQコンテンツの作成や更新をするための機能だけでなく、FAQコンテンツの閲覧数や評価、検索キーワードなどを知ることができる「統計分析機能」があります。FAQ管理システムの統計分析機能を利用することで、FAQサイトの問題点を発見し、データに基づいた改善をすることが可能です。
FAQサイトを改善するために確認すべき3つの項目
FAQサイトを改善するうえでチェックすべき指標は、「0件ヒット率」、「クリックスルー率」、「問い合わせ率」の3つです。これらに着目することで、FAQサイトの改善すべき部分や、ユーザーフレンドリーになっていない部分を発見できます。
検索結果でFAQがヒットしない割合を表す「0件ヒット率」
0件ヒット率とは、ユーザーがFAQの検索を行ったにもかかわらず、該当するFAQが1件もヒットしなかった割合を意味します。0件ヒットが発生する主な原因は、「検索キーワードに関連したFAQが存在しない」、「よく似た内容のFAQがあるが、表記ゆれにより該当の検索キーワードでヒットしない」の2点です。前者の場合、0件ヒットが発生したキーワードから顧客が知りたい情報を予測し、対応したFAQコンテンツを作成しましょう。後者の場合は、FAQのタイトルや本文によく検索されるキーワードを追加するか、表記ゆれに強いFAQ管理システムを導入することで対策しましょう。
検索結果のFAQがクリックされた割合を表す「クリックスルー率」
クリックスルー率とは、検索結果としてヒットしたFAQ一覧の中から、ユーザーがFAQをクリックした割合を意味する指標です。クリックスルー率が低い場合、該当のFAQが顧客の求める情報ではない可能性があります。クリックスルー率が低下する原因は、「FAQのタイトルが不適切で、ユーザーにとって分かりづらい」、「検索キーワードに対し、適切なFAQが存在しない」の2点です。前者の場合、FAQのQ(質問)の部分を重点的に見直し、分かりやすいタイトルに変更しましょう。後者については0件ヒット率の場合と同様に、検索キーワードから逆算してユーザーの本当に知りたい情報は何かを予測し、それに対応したFAQコンテンツを用意する必要があります。
FAQを閲覧した後に問い合わせを行った「問い合わせ率」
FAQサイトにおける「問い合わせ率」とは、FAQページを閲覧後、そのユーザーが問い合わせ行動を起こした割合を意味する指標です。Googleアナリティクスなどを活用し、FAQぺージから別のページへ遷移した割合を測定することで、大まかな問い合わせ率を求められます。問い合わせ率が高い場合、該当のFAQページが問題解決につながっていないことを示しています。回答文が専門用語ばかりになっていないかの確認や、FAQにイラストを付けるといったレイアウトの見直しなど、FAQコンテンツの抜本的な改善に取り組みましょう。
FAQサイトを改善する際の基本手順
FAQサイトを改善する際の一般的な手順は次の通りです。
- 改善に関するKPIを設定する
- 優先順位を付け、改善すべき点を絞り込む
- 改善を行う
- 改善によって得られた効果を分析する
まず、FAQサイトの改善に関するKPIを設定しましょう。たとえば、「0件ヒット率を◯%減らす」、「クリックスルー率を◯%改善する」など、具体的な数値を決めて改善計画を立てます。次に設定したKPIに基づいて、大まかな改善方針を決めます。一度に全てのコンテンツを改善するのではなく、優先順位を付けて取り組みましょう。たとえば、0件ヒット率の削減をKPIとするのであれば、「検索キーワードに対応したFAQの追加」を改善の柱とし、問い合わせ頻度の高いものから順に対応しましょう。そして、FAQサイトの改善を行ったら、再び0件ヒット率やクリックスルー率を測定し、改善の効果を分析します。KPIを達成できなかった場合は実施した内容を踏まえて原因を分析し、次回の改善に活かしましょう。
FAQサイトを改善する際に押さえたいフィット&ギャップ分析
FAQサイトの分析や評価に関する方法、改善にあたっての指標に加えて、押さえておきたい考え方が「フィット&ギャップ分析」です。フィット&ギャップ分析は、企業が情報システムを導入する際などに使われる分析手法で、「システムが提供する機能」と「ユーザーが求める機能」を比較し、両者にギャップがないか確認するのが目的です。FAQサイトの場合、とくに0件ヒット率を削減する際にフィット&ギャップ分析が有効です。たとえば「会員」と「メンバー」のように、企業が想定する検索キーワードと、ユーザーが普段利用する検索キーワードが一致するとは限りません。0件ヒット率が多い場合は、フィット&ギャップ分析を行い、「会員」と「メンバー」のどちらの利用頻度が多いか調べましょう。フィット&ギャップ分析を元にユーザー目線で検索キーワードを見直すことで、0件ヒット率を効果的に減らすことができます。
【まとめ】
FAQサイトで見るべきポイントは3つ!ユーザー目線での改善を
FAQサイトで見るべきポイントは、「0件ヒット率」、「クリックスルー率」、「問い合わせ率」の3点です。とくに0件ヒット率が高い場合、ユーザーが求めている情報がFAQとして存在しないことを表します。フィット&ギャップ分析を行って検索キーワードを見直したり、FAQ管理システムの統計分析機能を利用して、FAQサイトの検索性や情報の見つけやすさを改善しましょう。