金融庁が2021年9月に「保険モニタリングレポート」を公表し、保険業界を取り巻くビジネス環境や課題について取りまとめました。生命保険業界や損害保険業界は、顧客からの苦情や問い合わせの増加、自然災害の多発・激甚化にともなう業務量の増加、コロナ禍がもたらした事業継続リスクなど、さまざまな課題を抱えています。こうした課題の解決につながるのが、FAQ管理システムやナレッジ管理システムを始めとしたクラウドサービスです。この記事では、保険業界が抱える課題や解決策、スムーズに課題を解決するためのポイントを解説します。
目次
保険業界が抱える課題
金融庁が2021年9月10日に「保険モニタリングレポート」を公表しました。その背景には、自然災害の多発・激甚化や、新型コロナウイルスの感染拡大にともなうビジネス環境の変化など、保険業界が抱えるさまざまな課題が存在します。ここでは、金融庁の「保険モニタリングレポート」を参考にしながら、ウィズコロナ時代の保険業界が抱える4つの課題を紹介します。
金融庁の「保険モニタリングレポート」
金融庁が発表した「保険モニタリングレポート」は、保険会社を取り巻くビジネス環境や課題の観点から、保険業界の経済的リスクを分析した文書です。保険モニタリングレポートでは、「環境変化」と「保険会社の諸課題」の2つの観点から、保険業界の現状を分析しています。[注1]
環境変化
- 人口減少・技術革新等により国内保険市場が縮小する可能性や、低金利環境の継続による収益環境の変化
- 消費者のライフスタイル・嗜好、デジタル化の進展等による顧客ニーズの変化
- 内外経済・市場の変動、気候変動リスクの増大、パンデミックの発生等によるリスクの変化
保険会社の諸課題
- 持続可能なビジネスモデルの構築
- グループガバナンスの高度化
- 自然災害の多発・激甚化への対応
- 財務の健全性の確保
- 顧客本位の業務運営
- 少額短期保険業者の態勢整備
保険業界に大きな影響を与えているのが、新型コロナウイルスを始めとしたパンデミックや、自然災害の多発・激甚化がもたらす事業継続リスクです。また、2020年に第一生命保険株式会社の営業職員が金銭詐取事件を起こすなど、消費者の不信感も広がっています。保険業界はこうした課題に対応し、持続可能なビジネスモデルを構築する必要があります。
[注1] 金融庁：2021年 保険モニタリングレポート（主なポイント）
https://www.fsa.go.jp/news/r3/hoken/20210910/summary.pdf
顧客の苦情や問い合わせの増加
保険業界の課題の一つが、顧客からの苦情や問い合わせの増加です。2020年の第一生命保険株式会社の金銭詐取事件のほかにも、2019年に株式会社かんぽ生命保険、日本郵便株式会社、日本郵政株式会社の3社が一部業務停止命令および業務改善命令を受けるなど、保険業界では相次いで不祥事が発生しています。また、外貨建保険の元本割れリスクに関する問い合わせなど、保険会社への苦情件数も増加傾向にあります。こうした顧客からの苦情や問い合わせに対応するには、より一層のコンプライアンスの強化や、保険商品に関するノウハウの共有が必要です。
自然災害の多発・激甚化にともなう業務量の増加
近年、台風や水害を始めとした自然災害が多発・激甚化しています。それにともない、損害保険業界では自然災害を理由とした保険金の支払い件数が急増しました。たとえば、平成30年の台風21号では、857,284件の保険金支払いが行われ、支払い額の合計は10,678億円に達しています。[注1]
保険金の支払い件数の増加に対応するため、保険業界では業務効率化が経営課題の一つとなっています。
対面と非対面が融合した新しいビジネスモデルの必要性
新型コロナウイルスをきっかけとして、保険業界では対面での営業活動が大きく制限されました。顧客接点の減少を防ぐためには、業務プロセスをデジタル化し、オフラインとオンラインを組み合わせた新しいビジネスモデルを構築する必要があります。そのためには、IT人材の育成・確保や、オンラインで利用可能なクラウドサービスの導入が必要です。
保険業界の課題を解決するための方法
それでは、金融庁の「保険モニタリングレポート」で示された保険業界の課題をどのように解決すればよいのでしょうか。問い合わせ対応の効率化や、業務効率化の実現、顧客本位の業務運営などの課題を解決するには、FAQ管理システムやナレッジ管理システムなどICTの導入が必要不可欠です。ここでは、保険業界の課題を解決するための方法を2つ紹介します。
ナレッジ管理システムを導入する
ナレッジ管理システムとは、社内の有用な知見やノウハウを共有し、情報資産として活用するツールのことです。ナレッジ管理システムの一例として、社内情報をWeb上で共有できる社内Wikiや、デジタルデータを横断検索できるエンタープライズサーチなどが挙げられます。ナレッジ管理システムを導入すれば、顧客対応に必要な商品知識やノウハウをすばやく共有することが可能です。また、社員教育のツールとしても活用できます。
FAQ管理システムを導入する
FAQ（Frequently Asked Questions）は、よくある質問とその答えをまとめたページのことです。FAQを作成し、よくある苦情や問い合わせの答えをFAQページにまとめておけば、24時間365日顧客が自分自身で問題を解決することが可能です。苦情や問い合わせの件数を削減し、従業員の業務負担を軽減できます。また、FAQ管理システムを社内のナレッジ共有に利用することもできます。
保険業界の課題解決をスムーズに進めるポイント
保険業界の課題解決をスムーズに進めるポイントは2つあります。
- 自社の課題を明確にしておく
- 自社に最適なシステムを選ぶ
保険業界の課題をスムーズに解決するには、まず自社の業務の棚卸しを行い、経営課題を明確化することが大切です。金融庁の「保険モニタリングレポート」の通り、保険業界はさまざまな課題を抱えています。自社がどのような課題を抱えているのかを知り、ソリューションを選びましょう。
また、FAQ管理システムやナレッジ管理システムなどのICTを導入するときは、自社に合う製品を選定する必要があります。たとえば、FAQ管理システムといっても、一般ユーザー向けのFAQページを作成するための製品から、コールセンターのオペレーターが使用することを想定した製品まで、さまざまなものがあります。自社に合う製品かどうか確認するため、無料デモや無料トライアルを利用するのがおすすめです。
【まとめ】
保険業界が抱える課題を知り、FAQ管理システムなどのICTを活用しよう
ウィズコロナ時代の保険業界は、顧客の苦情や問い合わせの増加、対面と非対面が融合したビジネスモデルの必要性、自然災害の多発・激甚化にともなう業務量の増加など、さまざまな課題を抱えています。こうした課題の解決につながるのが、FAQ管理システムやナレッジ管理システムなどのクラウドサービスです。とくにFAQ管理システムを導入すれば、顧客対応の一部を自動化し、業務効率化を実現することができます。また、保険業務に関する知見やノウハウをオンラインで共有し、社員教育の一環として活用することも可能です。保険業界が抱える課題を知り、FAQ管理システムを始めとしたICTを積極的に活用しましょう。
