問い合わせが多い質問を「よくある質問(FAQ)」としてFAQページに公開し、顧客の自己解決を促進するのがFAQシステムです。FAQシステムには、FAQコンテンツの作成や更新を行う機能、顧客がFAQを検索するための機能、閲覧数やアクセス数などを分析する機能などがあります。FAQサイトの運用を成功させるには、自社に合ったFAQシステムを選ぶことが大切です。この記事では、FAQシステムの比較ポイントやFAQシステムの種類、導入効果を紹介します。
目次
FAQシステムの比較ポイント
まずはFAQの用途や目的に合わせて、「操作性のシンプルさ」、「運用サポートの手厚さ」、「スマートフォン対応」、「運用コスト」の4つの視点で比較検討しましょう。
操作性がシンプルか
まずはFAQシステムの操作性をチェックしましょう。操作性がシンプルなFAQシステムなら、ITリテラシーが低い方でも問題なく運用できます。たとえば、エディタ機能のあるFAQシステムなら、HTMLの知識がなくても簡単にFAQを作成することができます。FAQサイトを運用する現場担当者はもちろん、顧客にとっての使いやすさや操作のしやすさも大切です。とくにFAQシステムの検索機能は、FAQサイトのユーザビリティに大きな影響を与えます。顧客が直感的に操作でき、必要な情報をスムーズに検索できるFAQシステムを選びましょう。FAQシステムによっては、2週間~30日程度の無料トライアル期間が用意されているものもあります。FAQシステムを導入する前に無料トライアルを利用し、実際に操作性を確認することで失敗するリスクを減らせます。
運用サポートが手厚いか
FAQシステムの運用には以下のような段階が必要です。
- コールセンターやコンタクトセンターのログを収集し、問い合わせ頻度が高い質問を抽出する
- 同業他社や類似サービスのFAQサイトを分析する
- FAQコンテンツを作成し、重要度や優先度に応じて並び替える
- 運用レポートを作成し、重複・誤りがあるFAQや不足しているFAQがないか確認する
FAQサイトの作成が初めての場合、システム導入後の運用がうまくいかない可能性があります。システム導入後の運用サポートが充実したベンダーなら、FAQ運用に関する疑問や悩みをすばやく解決できます。
スマートフォン対応しているか
インターネットで情報収集を行う顧客の大部分は、パソコンだけでなくスマートフォンを利用しています。総務省の令和3年版情報通信白書によると、インターネット利用端末のうち、スマートフォンの割合は68.3%となり、パソコンの50.4%を上回りました。[注1]
FAQシステムを導入する際は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応した製品を選ぶことが大切です。通常、スマートフォンでの閲覧に対応したFAQサイトを作成するにはWebデザインのノウハウが求められますが、スマートフォン対応のFAQシステムなら知識やスキルがない方でも安心して利用できます。
[注1] 総務省:令和3年版情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111100.html
運用コストが予算内か
最後に、FAQシステムの運用コストが予算内におさまるかどうかを確認しましょう。主要なFAQシステムの大部分は、インターネットを通じて利用するSaaS(Software as a Service)形式のサービスです。そのため、FAQシステムの運用コストは、サービスを利用するための月額費用がメインとなります。そのほか、発生する可能性があるFAQシステムの運用コストは以下の通りです。
月額費用 | サービスを利用するために毎月支払う費用 |
サイト追加費用 | FAQサイトを新しく追加する際の費用 |
SSLオプション費用 | 通信の暗号化(SSL)に対応し、FAQサイトのセキュリティを高めるための費用 |
チャットボットとの連携費用 | チャットボットサービスを導入し、FAQサイトと連携して運用するための費用 |
FAQシステムの種類と期待できる導入効果
FAQシステムには、一般的な企業や製品サイトに設置される顧客向けのシステムや、社内向けのシステム、コールセンター向けのシステムなどの種類があります。FAQシステムの目的は、問い合わせ頻度の高い質問と回答をまとめ、顧客の自己解決を促進する点にあります。ここではそれぞれの用途や導入効果を説明します。
顧客向けFAQシステム
顧客向けFAQシステムは「よくある質問」として、企業や製品などのWebサイト、アプリに設置されます。問い合わせ頻度の高い質問を「よくある質問」として掲載することで、顧客が電話やメールなどで問い合わせを行う手間なく、悩みや疑問を自己解決できるため、顧客満足度の向上につながります。また、コールセンターへの問い合わせが減ることで、コールセンターのコスト削減にもつながります。
社内向けFAQシステム
社内手続きや端末の操作方法、ソフトウェアの不具合など、社内の問い合わせ窓口となるのが社内ヘルプデスクです。スマートフォンでもFAQを閲覧できるため、在宅勤務やテレワークを行う社員も気軽に疑問や悩みを自己解決できます。似たような問い合わせを社内FAQとしてまとめておくことで、問い合わせ件数を減らし、社内ヘルプデスクの業務負担を軽減できます。また、担当者が休暇や退職などで不在になった際、社内FAQを参照することで、別の担当者が対応でき、属人化の解消にもつながります。他にも、社内向けFAQを導入すれば、新入社員や中途社員が業務でわからないことを自己解決できるため、教育を効率的に行うこともできます。
コールセンター向けシステム
コールセンター向けのFAQシステムは主にコールセンターのオペレーターが利用します。オペレーターがFAQやマニュアルを参照することで、顧客からの問い合わせに対してスムーズな回答ができるようになります。
通常、勤続年数の浅い新人スタッフとベテランスタッフでは、顧客対応に差が出てしまいます。しかし、オペレーターが過去の対応履歴を蓄積し、システムで共有することで、顧客ニーズにあった対応が可能になったり、顧客対応の質を平準化できます。他にも、FAQを活用することで、オペレーターごとに対応の差がでてしまうのを防ぎ、属人化の解消にもつながります。
【まとめ】
FAQシステムの比較ポイントを知り、自社に合ったサービスを導入しよう
FAQシステムを選定する際は、「操作性のシンプルさ」、「運用サポートの手厚さ」、「スマートフォン対応」、「運用コスト」の4つの比較ポイントに着目しましょう。顧客向けFAQや社内向けFAQ、コールセンター向けFAQなど、自社の目的や用途に合ったFAQシステムを導入することで、顧客満足度の向上や問い合わせ件数の削減、オペレーター業務の属人化解消といった効果が期待できます。