「よくある質問(FAQ)」をまとめたFAQページを作成すれば、問い合わせ件数を削減できます。また、FAQは社員の知見やノウハウを集約するナレッジ共有ツールとしても活用できます。しかし、FAQをただ作成しただけでは効果を発揮しません。定期的にFAQコンテンツの見直しや追加を行い、運用していくことが大切です。この記事では、FAQ運用の流れや、運用を継続するコツ、FAQの改善に役立つKPIを解説します。
目次
FAQ運用の流れ
よくある質問をまとめたFAQを活用すれば、「問い合わせ件数の削減」、「顧客満足度の向上」、「業務の属人化の防止」、「知見やノウハウの共有」など、さまざまなメリットを得られます。そのためには、FAQページをただ作成するだけでなく、3つのフェーズで運用することが大切です。FAQページの効果を発揮するための運用の流れを解説します。
FAQコンテンツを追加する
FAQページを作成したら、問い合わせが多い項目や新しい商品、サービスに関するFAQを定期的にFAQコンテンツとして追加していく必要があります。スムーズにFAQコンテンツを追加するため、文体や表記方法、カテゴリ分けのルールなどをあらかじめ設定し、チーム内で共有しておくことが大切です。特にFAQの回答文は、FAQページのわかりやすさや解決率に大きな影響を与えます。どの担当者がFAQを作成しても一定の品質を保てるよう、以下のようなレギュレーションを設けましょう。
- 文意が明確に伝わるよう、主語と述語は離し過ぎない
- 一文一義を意識し、接続詞を多用しない
- 二重否定の表現は原則として使用しない
- 視認性の向上のため、適度に漢字を使用する
- 回答文が3~5行以上になる場合は改行する
- 使用する用語は統一し、表記揺れを避ける
- 専門的な用語は使用しない
承認ワークフローを確立する
FAQコンテンツの品質を担保するには、レビュー担当者が公開前のFAQをチェックし、承認する仕組みが必要です。FAQコンテンツをスムーズに承認するために、承認プロセスをワークフローで管理しましょう。承認ワークフローの例は以下の通りです。
- 作成者がFAQコンテンツを作成・修正する
- レビュー担当者にFAQコンテンツの承認を依頼する
- レビュー担当者がFAQコンテンツをチェックし、「承認」、「却下」などのラベルを追加する
- 公開担当者がFAQコンテンツのラベルを確認し、「承認」されたFAQを公開する
問い合わせ履歴を共有する
FAQコンテンツを追加するときに役立つのが、顧客の問い合わせ履歴です。同じような問い合わせが多い場合は、FAQを掲載し、顧客に見てもらえるようにすることで、問い合わせ件数を減らすことができます。また、顧客の問い合わせへの回答文を活用し、FAQコンテンツを作成することで作業工数を削減できます。そのためには、問い合わせ担当者とFAQ担当者の間で、問い合わせ履歴を共有する仕組みづくりが大切です。たとえば、「オペレーターが電話を受けた後、コールセンターシステムに問い合わせ履歴を記録する」、「メールでの対応を行った後、問い合わせメールに回答を追記してFAQ担当者に転送する」といった仕組みが効果的です。
FAQの運用を継続するコツ
FAQのよくある失敗例が、「FAQページを作成したものの、運用負荷が大きく更新頻度が低下した」、「FAQページの利用者が少なく、費用対効果に見合っていない」といったケースです。FAQページの作成後も運用を継続するために、全体像を把握しやすいレイアウトへの移行や、改善ポイントの優先順位付けなどの工夫が求められます。FAQの運用を成功させるコツを3つ解説します。
FAQページのレイアウトを改善する
FAQの運用負荷が大きくなる原因の1つが、FAQページのレイアウトです。レイアウトが見づらい場合、担当者がFAQページの全体像を把握できず、どこにどのFAQがあるかがわかりません。FAQページを見やすくするコツは以下の通りです。
- FAQの種類ごとにカテゴリ分けする
- FAQページに検索機能をつける
- 回答文をアコーディオン形式(折りたたみ形式)で表示する
- 閲覧数が多い質問をトップページに表示する
こうした工夫により、FAQページを改善できるだけでなく、FAQページを訪れたユーザーが知りたい情報を探しやすくなり、顧客の自己解決につながるというメリットもあります。
FAQの利用を促進する工夫をする
FAQページを作成したのに閲覧数が少ない場合は、FAQの利用を促進する工夫をしましょう。特にFAQを作成して間もない時期は、FAQページの存在を知らないユーザーもたくさんいます。FAQの存在を周知する方法として、たとえば以下のような方法があります。
- Webサイトの目立つところにFAQページのリンクやバナーを掲載する
- メルマガを配信し、FAQの運用を開始したことを伝える
- ビジュアルIVRを導入し、FAQページに誘導する
改善ポイントの優先順位を設定する
FAQページを運用していると、さまざまな改善点が見つかります。あれもこれもと全部を改善しようとするのではなく、改善ポイントの中で優先順位を決め、優先順位の高いものから改善していくことが大切です。FAQページの評価やアクセス履歴などを分析し、「ユーザーに見られていないページ」、「問題解決につながっていないページ」など、改善が必要なページを探しましょう。
FAQ運用で注視すべきポイント
FAQページを作成したら、閲覧数や評価数、クリックスルー率、問い合わせ件数などの指標を分析しましょう。FAQ管理システムなどを活用し、FAQページの統計データを分析することで、改善点を見つけることが可能です。FAQの運用で注視すべき指標は4つあります。
説明 | わかること | |
閲覧数 | ユーザーがFAQコンテンツを閲覧した回数 | 閲覧数が多いほど、ユーザーがFAQコンテンツを検索し、閲覧していることがわかる |
評価数 | アンケートなどで、FAQコンテンツにユーザーが与えた評価 | 評価数が多いほど、FAQコンテンツがユーザーの疑問や悩みを解決できていることがわかる |
クリックスルー率 | ユーザーがFAQを検索後、検索結果に表示されたFAQページをクリックした割合 | ・クリックスルー率が高いと、FAQページのタイトルやキーワードがユーザーの検索意図に合致していることがわかる ・逆にクリックスルー率が低い場合、検索キーワードとFAQの関連性を見直す必要がある |
問い合わせ件数 | ユーザーがFAQページを閲覧した後、電話やメールなどの問い合わせ行動を行った件数 | ・問い合わせ件数が多いと、FAQページがユーザーの疑問や悩みの解決につながっていないことがわかる ・たとえば、回答文がわかりづらいケースや、質問の意図に対応した回答文になっていないケースがある |
FAQサイトを改善するには、上記の指標をKPIとして設定し、定期的にモニタリングすることが大切です。
【まとめ】
FAQ導入を成功させるには運用の流れやKPIを知ることが大切
FAQページはただ作成するだけでは導入効果を発揮しません。「FAQコンテンツの追加」、「承認ワークフローの確立」、「問い合わせ履歴の共有」など、FAQを有効活用するための運用の流れを知ることが大切です。また、FAQページは作成後に継続的な改善やメンテナンスが必要です。閲覧数や評価数、クリックスルー率、問い合わせ件数などのKPIを注視し、優先度の高いポイントから改善に取り組みましょう。FAQページの運用を効率化するなら、FAQ管理システムの導入もおすすめです。