ユーザーの疑問や悩みを解決するため、「よくある質問」をまとめたFAQや、AIを活用し会話形式で問い合わせに答えるチャットボットがよく使われています。FAQとチャットボットの違いはどこにあるのでしょうか。たとえば、FAQは想定される質問数が多い場合に強みを発揮し、問題解決力に優れています。一方、チャットボットは会話形式のため問い合わせのハードルが低く、頻度が少なく想定されづらい質問にも対応できるというメリットがあります。問い合わせシステムを構築するときは、自社のカスタマーサポートに合わせ、FAQとチャットボットを使い分けることが大切です。この記事では、FAQとチャットボットの違いや、それぞれのサービスが有効なケースを紹介します。
FAQとチャットボットの3つの違い
問い合わせによく使われる「FAQ」と「チャットボット」には、3つの違いがあります。FAQとチャットボットの特徴をそれぞれ順に見ていきましょう。
ユーザーが疑問や悩みを解決する「手段」の違い
まず、FAQとチャットボットでは、ユーザーの問い合わせに答える「手段」が違います。FAQの場合、「よくある質問」を一覧にまとめ、ユーザーが探したり検索したりすることで疑問や悩みを解決に導きます。一方、チャットボットでは対話を通じ、AIやボットが自動で問い合わせの答えを提示します。原則として「セルフサービス」であるFAQと違い、ユーザーが自分で答えを探す必要はありません。
ユーザーに伝えられる「情報量」の違い
FAQとチャットボットは、問い合わせを通じてユーザーに提示できる「情報量」も違います。チャットボットの場合、ユーザーへの問い合わせにすばやく答えられる一方で、一度に提示できる情報量はそれほど多くありません。一方、FAQシステムなどで作成したFAQは、300件以上のFAQをストック可能です。複雑な内容や長い内容であっても、1つのページにまとめて表示することができます。
ユーザーから取得できる「データ」の違い
企業のカスタマーサポート部門では、問い合わせ履歴などのデータを活用し、サービス改善に役立てるのが一般的です。FAQシステムを導入している場合、FAQページの閲覧履歴や、検索回数が多いキーワードなどを分析し、ユーザーニーズを把握できます。一方、チャットボットには、ユーザーとの自由な対話や要望を通じ、ユーザーの隠れた意見を収集できるというメリットがあります。
FAQシステムがおすすめな2つのケース
カスタマーサポートにFAQシステムを導入すべきケースは、次の2つです。
想定されるFAQ数が多いケース
想定される質問が多い場合、一度に多くの情報を提示できるFAQが適しています。以下は、FAQとチャットボットそれぞれの適正な質問数をまとめた表です。
想定される質問数 | |
チャットボット(AI非搭載) | 50件程度 |
チャットボット(AI搭載) | 50~300件 |
FAQシステム | 300件以上 |
AI非搭載のチャットボットは、表記ゆれへの対応や、複雑な質問パターンへの対応が難しく、想定される質問が多い場合は適していません。質問パターン数が300件以上ある場合は、チャットボットよりもFAQシステムを選びましょう。
ユーザーの疑問や悩みの解決率を高めたいケース
また、FAQシステムは一度の問い合わせで多くの情報をユーザーに提供できるため、問い合わせの解決率を高めたい場合にも向いています。FAQシステムなら、個々の質問の答えに加えて、質問と関連性の高いほかのFAQページや、ユーザーにとって参考になりそうなWebサイトのURLなども同時に提供できます。また、画像や添付ファイルを用いて回答を提示したい場合はFAQのほうが向いています。
チャットボットシステムがおすすめな2つのケース
一方、チャットボットシステムが向いているのは次の2つのケースです。
曖昧な質問や頻度の少ない質問にも対応したいケース
チャットボットシステムは膨大な量のQ&Aの対応には不向きですが、AI搭載のシステムなら、曖昧な質問や頻度の少ない質問にも対応できます。AIがユーザーの質問意図を理解し、聞き返し質問を行うことで、疑問や悩みを解決に導くことが可能です。ユーザーがうまく言語化できておらず、曖昧なままの質問にも適切に答えられるのは、対話形式であるチャットボットシステムの強みのひとつです。
問い合わせのハードルを下げたい場合
また、チャットボットシステムは、ユーザーの問い合わせのハードルを下げたい場合にも有効です。チャットボットの最大の特徴は、ユーザーとの対話を通じて問題解決に導く双方向の「対話形式」である点です。ユーザーはチャットボットに「話しかける」だけでよいため、気軽に問い合わせを行うことができます。また、LINEやFacebookメッセンジャーといった外部サービスと連携したチャットボットなら、スマートフォンやタブレットの利用者が多い若年層にとっても便利です。
FAQ管理システムの3つの導入メリット
ユーザーの疑問や悩みに答えるFAQを作成し、カスタマーサポートの質を上げたい場合は、「FAQ管理システム」の導入がおすすめです。ここでは、FAQ管理システムを導入することで企業が得られるメリットを3つ紹介していきます。
問い合わせの負担を軽減し、業務効率化を実現
FAQ管理システムを導入し、充実したFAQコンテンツを提供することで、ユーザーが疑問や悩みを自分自身で解決できるようになります。コールセンターやカスタマーサポートセンターへの問い合わせ件数が少なくなり、業務負担が減少します。業務効率化を実現でき、人件費や通信費などのコスト削減も可能です。
閲覧履歴データを活用し、さらなるカスタマーサポートの改善へ
FAQ管理システムには、FAQコンテンツの閲覧データを分析できる「統計分析機能」がついています。統計分析機能を使えば、FAQコンテンツの閲覧数や評価数、検索回数が多いキーワードなどを分析し、ユーザーニーズを細かく把握することが可能です。ユーザーニーズの分析に基づき、FAQコンテンツやカスタマーサポート業務を改善することで、さらに顧客満足度の高い問い合わせシステムを構築することが可能です。
チャットボットサービスと連携し、さらなる利便性向上も可能
FAQ管理システムには、チャットボットシステムと連携できるものがあります。FAQとチャットボットの二者択一ではなく、両方を組み合わせることで、さらに問い合わせの利便性を高めることが可能です。ユーザーが自己解決できそうな問い合わせ内容はFAQで、ユーザーがうまく言語化できず、曖昧になっている疑問や悩みはチャットボットで対応するなど、両者のいいとこ取りが可能です。
【まとめ】
FAQとチャットボットの違いを理解し、自社に合った問い合わせシステムの構築を
企業のカスタマーサポートによく使われるFAQとチャットボットには、それぞれ強みがあります。FAQは想定される質問数が多い場合や、問題解決力を高めたい場合に適しています。一方、チャットボットは曖昧な質問や頻度の少ない質問への対応や、問い合わせのハードルを下げられるという面で優れています。自社のカスタマーサポート部門に合わせ、最適な手段を選ぶことが大切です。FAQ管理システムによっては、チャットボットサービスと連携可能です。FAQ管理サービスを導入し、顧客満足度の高い問い合わせシステムを構築しましょう。