コールセンターを自社運営する場合、「人件費」、「採用費」、「機材・システム費」、「メンテナンス費」など、さまざまな運営費用がかかります。機材・システム費などの初期投資や、人件費などの固定費を抑えたい場合、コールセンター業務を外部に委託する方法もあります。ただし、コールセンター業務の内容によっては自社運営よりもコストがかかるケースもあるため、自社に合った運営方法を選ぶことが大切です。コールセンター業務のコストダウンを目指す場合は、自社運営と外部委託の両方の観点から費用対効果を分析しましょう。また、近年はチャットボットシステムやFAQ管理システムを活用し、コールセンターの運営費用を抑えるケースも見られます。この記事では、コールセンター運営にかかる費用の目安や、コールセンター業務を外部委託する際の注意点、チャットボットシステムを導入するメリットについて詳しく解説します。
目次
コールセンター運営にかかる主な費用
コールセンター運営にかかるコストは、自社運営する場合と外部委託する場合で異なります。まずは自社運営と外部委託の両方の観点からコールセンターの運営費用を比較してみます。
コールセンターを自社運営する場合の費用の目安
コールセンターを自社運営する場合、運営費用は「機材・システム費」などの初期費用と、オペレーターの「人件費」などの維持費用の2種類に分けられます。
一般的なコールセンターを1年間自社運営する場合、必要な費用の目安は次の通りです。
内訳 | 費用の目安 | |
初期費用 | 機材費 | 30万円~250万円 |
システム導入費 | ||
システム構築費 | ||
オペレーターの採用費 | 20万円~40万円 | |
教育・研修費 | ||
維持費用 | システムの維持費用 | 50万円/1年 |
システムのメンテナンス費 | 36万円~840万円/1年 | |
家賃や光熱費など | ||
オペレーターの人件費 | 時給1,200円~3,000円/1人 | |
その他 | クラウドサービスなどの契約料やライセンス料 | 50万円/1年 |
コールセンター業務を外部委託する場合の費用の目安
それでは、コールセンター業務を外部パートナーに委託する場合の費用の目安を見てみましょう。外部委託する場合、費用の内訳の大半を占めるのが「月額基本料」です。また、外部パートナーによっては、オペレーターの研修費などの初期費用が別途必要になるケースもあります。
内訳 | 費用の目安 | |
初期費用 | オペレーターの研修費 | 1万円~5万円 |
研修資料の作成費 | ||
月額基本料 | 月額固定型 | 10万円~30万円/1ヶ月 |
従量課金制 | 300円~1,000円/1コール |
注意が必要なのが、月額基本料には「月額固定型」、「従量課金制」の2種類の料金形態がある点です。月額固定型のサービスは、コール量にかかわらず利用料金が一定です。一方、従量課金制のサービスの場合、コール量に応じて利用料金が変動します。自社の月間コール量を想定し、最適な料金形態を選ぶことで外部委託費用を抑えることが可能です。
コールセンター業務を外部委託する際の注意点2つ
コールセンター業務を外部委託すれば、CTI(Computer Telephony Integration)やCRM(Customer Relationship Management)などのシステム導入費や、電話機やパソコンなどの機材費といった初期費用を抑えられます。また、オペレーターを雇用する必要がないため、採用費や人件費もかかりません。しかし、コールセンター業務の種類によっては、想定よりも運営費用がかかる可能性があります。コールセンター業務を外部委託する際の注意点を2つ紹介します。
コールオーバーが発生すると超過料金が発生する
コールセンター業務を外部委託するときは、「コールオーバー」に注意しましょう。コールオーバーとは、「月額固定型」の料金形態を採用するサービスの場合に発生する超過料金のことです。月間のコール量が一定数を超えると、コールオーバーが発生し、超過したコール量に応じた追加料金が発生します。コールオーバーの料金の目安は、およそ1コールにつき100~250円です。「月額固定型のサービスだから、コール量が増加しても利用料金が変動しない」、「自社はコール量が多いため、月額固定型を選べば委託費用を節約できる」と安易にサービスを契約すると、コールオーバーによって多額の追加費用を支払わなければならないケースもあります。外部パートナーを選ぶときは、料金体系の詳細をきちんと確認し、委託費用をできるだけ正確に見積もりましょう。
コールセンター業務の種類によって委託費用が変動する
また、コールセンター業務の種類によって委託費用が変動する点にも注意が必要です。コールセンター業務の委託会社は、受託するのがインバウンド業務かアウトバウンド業務かによって料金形態が変動するのが一般的です。委託会社にもよりますが、アウトバウンド業務を委託する場合、インバウンド業務よりも委託費用が高額になる傾向があります。アウトバウンド向けのコールセンターの場合、外部委託するよりも自社運営の方が結果としてコストダウンにつながる可能性もあります。コールセンター業務を自社運営するか、外部委託するかを決めるときは、事前に費用対効果をきちんと見極め、自社に合った運営方法を選ぶことが大切です。
人件費を抑えるならチャットボットシステムがおすすめ!導入すべき2つの理由
コールセンター運営にかかるコストのうち「人件費」を抑えたい場合は、チャットボットシステムの導入も検討しましょう。チャットボットシステムとは、事前に用意したシナリオに基づき、お客さまからの問い合わせに自動で回答するサービスです。
問い合わせ対応を自動化し、オペレーターの人員を減らせる
チャットボットシステムを導入すれば、問い合わせ対応を自動化できます。問い合わせの一部をチャットボットシステムが肩代わりすることで、コールセンターのコール量を減らし、オペレーターの業務負担を軽減できます。導入前よりも少ない人数で顧客対応を行えるため、人件費の増加を抑制できます。チャットボットシステムによっては、月額料金が数千円~数万円程度で利用できるものもあります。事前にサービスサイトの料金プランを確認し、予算に合ったチャットボットシステムを選びましょう。
ただし、チャットボットシステムが対応できるのは、定型的な問い合わせ業務に限られます。FAQ管理システムと連携し、複雑な問い合わせなどは必要に応じてFAQページに誘導することで、自己解決を促せます。また、有人対応への切り替えが可能なチャットボットシステムであれば、問い合わせ内容に応じて有人オペレーターに誘導できるため、チャットボットシステムの弱点をカバーできます。
夜間や休日でも問い合わせ対応が可能なため、オペレーターの残業時間を削減できる
無人で運用可能なチャットボットシステムなら、24時間365日いつでも問い合わせ対応が可能です。夜間や休日の問い合わせはチャットボットシステムで対応し、有人オペレーターは日中の問い合わせ対応に注力することで、オペレーターの残業時間を削減できます。コールセンターの人件費を削減したい場合は、チャットボットシステムの導入を検討しましょう。ただし、質問数が多い場合はチャットボットシステムではなく、FAQ管理システムの導入を検討することもおすすめです。
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【まとめ】
コールセンターの運営費用の目安を知り、コストダウンに向けた施策を
コールセンターの運営費用は、自社運営か外部委託かによって変動します。コールセンター業務を外部パートナーに委託する場合、機材・システム費や人件費を削減できます。しかし、業務内容によっては、想定よりも運営費用がかかる可能性があるため注意が必要です。自社運営の場合と、外部委託の場合の費用対効果をそれぞれ比較し、自社に合った運営方式を選ぶことが大切です。また、コールセンターの人件費を削減したい場合は、チャットボットシステムを導入し、オペレーターの有人対応工数を減らす方法もあります。コールセンターの運営費用の目安を知り、コストダウンを実現しましょう。