コールセンター業界では、慢性的な人手不足に対応するため、コールセンター業務を外部に委託するケースが増えています。とくに電話応対にとどまらず、コールセンターに関わる複数の業務を一気通貫で外注することをBPO(Business Process Outsourcing)といいます。この記事ではコールセンターやコンタクトセンターにおけるBPOの定義や、BPOが向いているケースについて解説します。
目次
コールセンターやコンタクトセンターにおけるBPO
業務を部分的にアウトソーシングするのではなく、前後の業務も含めて一気通貫で外注することを「BPO」と呼びます。BPOは、コールセンターやコンタクトセンター、総務、人事、経理などのノンコア業務や、自社に運用ノウハウがない業務を外部に委託することで、コア業務に資源を集中するための経営手法でもあります。BPOの定義や特徴をわかりやすく説明します。
BPOとは?複数の業務を一気通貫で外注すること
そもそもBPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略で、業務の一連の流れ(ビジネス・プロセス)を丸ごと切り出し、外部委託することを意味します。BPOは通常の人材派遣などとは異なり、各部門にある定型業務を丸ごと外部企業に委託するため、業務を担う人材の採用や教育を含め、専門的なノウハウを有する外部企業に任せるのが特徴です。つまり、コールセンターにおけるBPOは、電話応対業務だけでなく、電話応対前の顧客データの収集や集客、電話応対後の商談やその後のフォローなど、コールセンターに関わる複数の業務を一気通貫で外注することを指します。
BPOと人材派遣の違い
BPOと混同しやすいものとして「人材派遣」があります。違いは「業務の管理者がどちらにあるか」という点にあります。BPOは、依頼する業務全般を専門の外部企業に委託するため、業務に必要な人材の管理や指揮などは、委託された外部企業がすべて担います。それに対し、人材派遣の場合は、派遣スタッフが依頼元の従業員の指揮命令に沿って、業務を行います。人手不足の場合、派遣スタッフを採用しても教育やマネジメントに費やすリソースがないケースが少なくありません。BPOなら、そうした心配をすることなく業務自体の代行を依頼できるのがメリットです。
コールセンターの経営改善を目指すならBPOがおすすめ
BPOや人材派遣のほかに、「アウトソーシング」という選択肢もあります。業務の一部分を委託するアウトソーシングか、一連の業務を丸ごと委託するBPOか、どのように判断すべきでしょうか。「定型的な問い合わせ業務を外注したい」というより、コールセンターの経営改善を目指す場合は、アウトソーシングよりもBPOがおすすめです。また、カスタマーサービス部門を丸ごと外部に委託したい場合も、BPOが適しています。
コールセンターの経営改善を目指す場合
BPOベンダーは、さまざまな業務を代行するだけでなく、業務プロセスの課題を発見し、改善していくためのコンサルタントの役割も果たします。「顧客からのクレームが多く、早急に顧客満足度を高めたい」、「オペレーター教育に取り組んでいるが、応対品質がなかなか改善できない」、「オペレーターの人員が少ないこともあり、応答率が基準を下回っている」など、コールセンターでの課題を抱えている場合は、アウトソーシングではなくBPOを選択しましょう。BPOを通じ、コールセンター運営についてのフィードバックを得ることで、コールセンターの経営改善につながります。
カスタマーサービス部門を丸ごと外部に委託したい場合
コールセンター業務の一部ではなく、カスタマーサービス部門を丸ごと外部に委託したい場合も、BPOが向いています。カスタマーサービス部門自体を切り出してBPOにすれば、カスタマーサービス部門の設置に必要なコストや人員、立ち上げに伴う準備なども含めて丸ごと削減できます。アウトソーシングと違い、電話応対業務にとどまらず、関連する業務を一気通貫で委託できるため、新規事業を起こすときにもBPOが適しています。
定型業務の効率化が目的ならアウトソーシングを
逆に、電話応対業務などの定型業務の効率化が目的なら、アウトソーシングを選択しましょう。たとえば、通販の受付や電話応対、アフターフォローなど、業務の流れが決まっていてマニュアル化が可能なものは、アウトソーシングのほうが適しています。BPOはアウトソーシングよりも費用が高額なケースが多く、さらに委託前に相手企業と綿密な打ち合わせを行う必要があるなど、時間も手間もかかります。定型業務を外部委託する場合は、BPOよりもアウトソーシングのほうが適切です。
BPOを導入する前に知っておきたいデメリット
BPOにはデメリットもあります。導入を進める前に、どのようなデメリットがあるのかを理解しておきましょう。主には、次の3つが挙げられます。
- 委託するための事前準備が必要
- 社内ノウハウを蓄積できない
- 情報漏えいのリスク
BPOを導入する場合、はじめに外部に委託するための事前準備が必要です。どの業務をどこまで任せるかなど、最初は一定の準備が必要です。サービスによっては、そうした準備から支援してくれる場合もあるので、一度ベンダーに相談してみましょう。また、委託することにより、顧客との接点や自社内にノウハウを蓄積する機会がなくなるのも事実です。BPOを導入する際は、そうならないよう、自社の担当者も交えた体制をとりましょう。そして、セキュリティ面も忘れないようにしましょう。企業のコールセンターには、自社の情報だけでなく、大切な顧客情報を取り扱うシーンが多くあります。ベンダーを選定する場合は、事前に情報収集を行い、しっかりと比較検討したうえで選定しましょう。
【まとめ】
コールセンターやコンタクトセンターにおけるBPOの特徴やメリットを知り、自社に合った選択をしよう
電話応対業務だけでなく、前後の業務も含めて一気通貫で外部委託することを「BPO」といいます。人材派遣やアウトソーシングとは異なり、依頼する業務全般を専門の外部企業に委託するため、業務に必要な人材の管理や指揮などは、委託された外部企業がすべて担います。コールセンターの経営改善を目指す場合や、カスタマーサービス部門を丸ごと外部に委託したい場合はBPOが向いています。BPOを導入する際は、事前の準備や情報収集を行い、しっかりとベンダーを比較検討しましょう。