新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして、テレワークやリモートワークといった新しい働き方を取り入れる企業が増えています。リモートワークの課題の一つが、「対面でのコミュニケーションがとりづらい状況で、どのように社員教育を行うか」という点です。リモートワークによる社員教育のコツは、デジタルツールを有効活用することです。ビジネスチャットツールやWeb会議システムなど、コミュニケーションツールを活用すれば、リモートワークでも社員としっかりコミュニケーションがとれます。この記事では、リモートワークにおける社員教育のコツや注意点、ナレッジ共有システムの重要性を解説します。
目次
リモートワークでも社員教育は可能?
新型コロナウイルスの影響を受け、リモートワークを採用する企業が急増しました。新型コロナウイルスの感染拡大がはじまった2020年以降に入社した社員の場合、リモートワークが多く、オフィスワークをほとんど経験していないケースもあります。リモートワークでも社員教育は可能なのでしょうか。ここでは、社員教育におけるデジタルツールの重要性について解説します。
デジタルツールを活用すれば、リモートでも社員教育が可能
新型コロナウイルスの影響により、社員教育もオンラインに移行しつつあります。リモートで社員教育を実施する場合は、デジタルツールの導入が必要不可欠です。デジタルツールとは、日常的な業務やコミュニケーションをオンライン環境で行うためのツールを指します。たとえば、オンラインで社員同士がやりとり可能なビジネスチャットツールや、遠隔地の相手と顔を合わせて通話可能なWeb会議システムなどがデジタルツールに該当します。デジタルツールを導入すれば、リモートワークの欠点を克服し、社員教育をスムーズに実施することが可能です。
リモートワークにおける社員教育のコツ
リモートワークでの社員教育にはさまざまな課題があります。
- 対面でのコミュニケーションがとりづらい
- 相手の表情やレスポンスがわかりづらい
- 社員の集中力が持続しない
- ちょっとした雑談ができない
これまで対面での社員教育に慣れてきた人ほど、リモートワーク環境への対応に苦しんでいます。ここでは、リモートワークにおける社員教育のコツを3つ紹介します。
OJTはコミュニケーションツール上で行う
OJT(On the Job Training)は、先輩社員が手本となり、実際の業務を通じて指導し、仕事のコツや進め方を身に付けさせる社員教育方法です。OJTを成功させるためには、先輩社員と新人が密接にコミュニケーションをとれる環境が必要です。
- 先輩社員が相手の質問にいつでも対応できる環境
- 先輩社員が相手の困りごとをすばやく把握できる環境
- 先輩社員が仕事のコツや進め方を言語化できる環境
しかし、リモートワークでは対面でのコミュニケーション機会が限られるため、上記の条件を満たすのが難しくなります。そこで役に立つのが、オンラインでリアルタイムにやりとり可能なコミュニケーションツールです。コミュニケーションツールを導入すれば、新人社員からの質問にすばやく回答したり、仕事のコツや進め方を相手に伝えたりできます。社員教育に活用できるコミュニケーションツールの代表例が、チャット形式でコミュニケーションを取り合うビジネスチャットツールです。ビジネスチャットツールなら、説明用の資料ファイルを新人社員と共有することもできます。
1on1のミーティングを実施する
リモートワークで社員教育を実施する場合は、毎日10~20分ほどの1on1ミーティングを開催しましょう。1on1ミーティングを行うメリットは3つあります。
- 慣れないリモートワーク環境への不安を取り除ける
- 新人社員と直接やりとりすることで、相手の困りごとを把握できる
- 社員一人ひとりに声掛けすることで、モチベーションの低下を防止できる
1on1ミーティングを実施する場合は、Web会議システムの導入がおすすめです。Web会議システムなら、遠隔地にいる社員同士でも顔を合わせながらやりとりできます。
必要に応じて出社日を設定する
企業によっては、オフィスに出社せずに自宅やカフェなどで働くフルリモートワークを採用しているかもしれません。しかし、適度に出社日を設定することで、社員教育の効果を高められます。
- ちょっとした雑談のついでに、仕事の悩みを気軽に相談できる
- 定期的に出社日を挟むことで、集中力の低下を防止できる
- 対面で接する機会が増加し、より人間らしいコミュニケーションをとれる
オフィスワークとリモートワークという2つの働き方をバランスよく融合することが大切です。
リモートワークにおける社員教育の注意点
リモートワークで社員教育を実施する場合は、以下の2点に注意しましょう。
- 社員一人ひとりの目標を明確化する
- ナレッジ共有システムを活用する
社員一人ひとりに目が行き届かないリモートワークだからこそ、目標管理を徹底することが大切です。リモートワーク環境での社員教育がなかなかうまくいかない場合は、ナレッジ共有システムの導入も検討しましょう。
社員一人ひとりの目標を明確化する
リモートワークでは、社員がバラバラの場所で働くため、モチベーションの維持が難しくなります。そこで大切なのが、目標管理(MBO:Management By Objectives)と呼ばれるマネジメントです。目標管理とは、社員一人ひとりが目標を設定し、上長が達成度合いを定期的に確認する手法です。目標管理を取り入れれば、社員一人ひとりの成果や進捗状況が可視化されるため、リモートワークでもモチベーションが下がりづらくなります。
ただし、厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」に記載されている通り、人事制度や評価制度の変更が伴う場合は、あらかじめ労働者の理解を得る必要があります。
“専らテレワークを行う労働者等、職場に出勤する頻度の低い労働者については、業績評価等について、評価者や労働者が懸念を抱くことのないように、評価制度及び賃金制度を明確にすることが望ましい。”
[引用元]厚生労働省:情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン P12
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000690830.pdf
ナレッジ共有システムを活用する
リモートワーク環境でも、コミュニケーションツールを使えば円滑なやりとりが可能です。しかし、対面でのコミュニケーションと比較すると、細かい知見やノウハウの共有が難しくなります。リモートワークでの社員教育がうまくいかない場合は、ナレッジ共有システムを活用してみましょう。
ナレッジ共有システムとは、業務に役立つ知見やノウハウをデータベース化し、全社員で共有するためのツールです。業務のコツや進め方、過去の失敗例などのちょっとした知識でも、ナレッジ共有システムがあれば簡単に共有できます。
【まとめ】
リモートワークにおける社員教育のコツや注意点を確認しよう
リモートワークにおける社員教育のコツは、デジタルツールを有効活用することです。オンラインでの社員教育には、「相手の反応がわかりにくい」、「対面でのコミュニケーションがとりづらい」といったデメリットがあります。1on1のミーティングが可能なWeb会議システムや、オンラインでリアルタイムにやりとり可能なコミュニケーションツール、ナレッジ共有システムを導入することで、社員教育をしやすくなります。対面研修や集団研修に限らず、OJTを実施することも可能です。リモートワークにおける社員教育のコツや注意点を確認した上で、社員教育をオンラインに移行しましょう。