社員が持つ知見やノウハウを「ナレッジ」として共有すれば、業務効率化や生産性の向上、業績アップにつながります。たとえば、顧客情報や業務フロー、トークスクリプトなどが共有すべきナレッジの例です。しかし、社内に眠るナレッジの共有がなかなか進まない企業も存在します。なぜナレッジ共有がうまくいかないのでしょうか。この記事では、ナレッジ共有が進まない理由や解決策、ナレッジ共有に役立つツールの活用方法を解説します。
目次
社内ナレッジ共有が進まない3つの原因や解決策
社内のナレッジ共有が進まない原因は3つあります。
- ナレッジ共有の担当チームが存在しない
- ナレッジ共有のハードルが高い
- 共有すべき情報の精査ができていない
それぞれの原因や解決策を解説します。
ナレッジ共有の担当チームが存在しない
ナレッジ共有に失敗する原因の1つが、「ナレッジ共有の担当チームが存在しない」ケースです。ナレッジ共有を推進する担当者の不在により、ナレッジの登録や品質管理が他の社員任せになってしまうのが、ナレッジ共有がうまくいかない原因です。ナレッジマネジメントは、以下のプロセスで行われます。
- 共有すべきナレッジを持つロールモデルを探す
- ナレッジ共有に必要なツールを選定する
- ナレッジ共有のルールや行動指針を決定する
- ナレッジを蓄積する
- 共有したナレッジを精査し、古くなったナレッジの見直しなど運用を行う
ロールモデルの選定や、ナレッジ共有ツールの導入、運用ルールの整備など、ナレッジマネジメントを実施するにはさまざまなプロセスが必要です。他の業務との兼務では担当者の業務負担が大きくなるため、ナレッジマネジメントの担当チームを編成しましょう。ITスキルやテクニカルライティングスキルの持ち主や、プロジェクト管理の経験者などがチームメンバーとして理想的です。
ナレッジ共有のハードルが高い
ナレッジ共有の失敗例として、「ナレッジを進んで共有してくれる社員が少ない」、「ナレッジ共有ツールを導入したものの、利用者が少ない」といったケースが挙げられます。その場合、社員がナレッジを登録して蓄積するプロセスに問題があり、ナレッジ共有のハードルが高すぎる可能性があります。たとえば、以下のような原因が考えられます。
- 共有すべきナレッジのイメージが社員に伝わっていない
- ナレッジをどこに共有するのかが周知されていない
- 導入したナレッジ共有ツールが使いづらい
こうした課題を解決するには、ナレッジ共有の運用ルールを決め、「どのようなナレッジを」、「どのようなツールで」共有するのかを周知徹底する必要があります。また、ナレッジ共有ツールの使い方や操作方法をわかりやすく説明することも大切です。ナレッジ共有がうまくいかない場合は、ナレッジを「書く」、「記録する」ハードルが高くなっていないか確認しましょう。
共有すべき情報の精査ができていない
社員が持つ知見やノウハウのなかには、会社にとって有用なものとそうでないものがあります。すべてのナレッジをデータベースに登録するのではなく、共有すべき情報を精査することが大切です。重要度の低いナレッジばかり共有されていると、ナレッジ共有が形骸化し、導入したツールの利用者もだんだん減っていきます。共有すべき情報の精査ができていない場合は、ナレッジを精査する基準を設定し、登録されたナレッジのレビューや承認を行う担当者を決めましょう。情報が古いナレッジや不適切なナレッジは除外し、最新の情報や重要度の高い情報を積極的に共有することが大切です。
社内ナレッジ共有のポイント
社内ナレッジを効率的に共有するには、ナレッジを「書く」、「記録する」などの手間をなるべく省き、社員が気軽にナレッジを共有できる仕組みをつくることが大切です。また、社内WikiやFAQ管理システムなどのナレッジ共有ツールの導入も効果的です。社内ナレッジを共有するときのポイントを2つ解説します。
ナレッジ共有の手間を最小限化する
社員がナレッジを共有しやすくするため、ナレッジ共有の手間を最小限化しましょう。ナレッジを「書く」、「記録する」などの手間の削減につながるのが、テンプレートの活用です。ナレッジを共有するためのテンプレートをあらかじめ用意しておけば、社員がテンプレートに沿って記入するだけでナレッジを登録できます。Excelやスプレッドシートなどを活用すれば、紙の書類ではなくデジタル文書でナレッジを共有することも可能です。
ナレッジ共有ツールを導入する
ナレッジ共有ツールを導入する方法も効果的です。たとえば、ナレッジ共有ツールには社内Wiki、FAQ管理システム、ビジネスチャットツールなどがあります。ナレッジ共有ツールを活用すれば、ナレッジを「書く」、「記録する」手間を削減できるだけでなく、インターネットを通じて手軽にナレッジを閲覧することが可能です。ナレッジ共有ツールごとのメリットやデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
社内Wiki | ・ナレッジをWiki形式で簡単に編集できる ・特定のユーザーに編集権限や閲覧権限を付与できる |
・Wikiによっては独自のタグや記法を使う必要がある ・ITリテラシーの低い社員にとっては使いづらい可能性がある |
FAQ管理システム | ・FAQを簡単に追加・編集できる ・HTMLの知識がなくてもコンテンツを作成できる ・閲覧数や評価数などのデータを分析できる |
・FAQの承認やレビューなど、一定の管理工数が必要になる場合がある ・検索性が悪いと必要な情報をなかなか探し出せない |
ビジネスチャットツール | ・チャット形式で気軽にナレッジを投稿できる ・専用のチャンネルを作成し、業務連絡などと分けて運用できる ・チャットログをキーワードで検索し、知りたい情報を探せる |
・チャットでのやりとりのため、チャットログが流れやすい ・情報を網羅的に整理するのにはあまり向いていない |
ナレッジ共有に役立つツールの活用方法
ナレッジ共有ツールを導入したら、まずは社員にツールの存在を知らせましょう。ナレッジ共有ツールの使い方や操作方法を丁寧に説明することで、ツールの利用者を増やすことができます。次に共有すべきナレッジをリストアップし、精査することが大切です。古いナレッジや不適切なナレッジは共有せず、有用な知見やノウハウを登録します。広く共有したいナレッジはドキュメント化しましょう。ツールによってはテキスト入力だけでなく、画像やURLを使用し、ドキュメントを作成することもできます。必要なドキュメントをすぐに探せるよう、検索機能が優れたツールを導入するのも効果的です。ナレッジ共有ツールをただ導入するだけでなく、導入後の運用方法も事前に検討しておきましょう。
【まとめ】
ナレッジ共有が進まない原因を知り、自社に合ったツール導入の検討を
ナレッジ共有がなかなか進まない場合、ナレッジの蓄積や品質管理を行うナレッジマネジメントを見直しましょう。ナレッジ共有に失敗する原因は、「ナレッジ共有の担当チームが存在しない」、「ナレッジ共有のハードルが高い」、「共有すべき情報の精査ができていない」の3つです。ナレッジ共有を促進するため、FAQ管理システムや社内Wikiなどのナレッジ共有ツールを導入しましょう。ナレッジ共有の手間を最小限化できるだけでなく、インターネットを通じていつでもナレッジを閲覧できます。社内ナレッジ共有が進まない原因を知り、自社に合ったツールを導入することが大切です。