ナレッジマネジメントは業務の属人化を防ぐために効果的です。特定の業務に対しての知識が蓄積されていくことで、誰もが同じように業務を進められるようになります。しかし、ナレッジマネジメントは手法によって本来期待できる効果を得られない可能性もあります。今回はこれまでのナレッジマネジメントや新しいナレッジマネジメントについて解説します。
目次
古いナレッジマネジメント手法
ナレッジマネジメントはただ情報を蓄積していくだけではありません。必要な情報を適切な方法で蓄積していく必要があります。古いナレッジメント手法で管理していると、情報が探しづらかったり、煩雑になったりし、デメリットにつながります。
紙でのナレッジマネジメントは検索性に劣る
紙にさまざまな情報を蓄積する方法は、どの情報がどこにあるのかを検索するのに時間がかかってしまいます。また、紙の場合は情報をまとめた書類を紛失してしまう可能性もあります。実際に顧客の情報が記載された233枚もの帳票が紛失してしまったケースがあります。[注1]
[注1]日本ネットワークセキュリティ協会「オフィス内での書類の紛失」
https://www.jnsa.org/ikusei/case/04_02.html
担当者を決めずに情報を集めている
ナレッジマネジメントは担当者を決めて情報を収集、蓄積することで、その後に役立てられます。一方、担当者を決めずにただ情報だけを収集していると煩雑になってしまったり、情報が重複したりしてしまい、蓄積した情報を業務に活かしきれない可能性があります。
エクセルは権限設定を細かくできない
エクセルでナレッジマネジメントを行う場合、アクセス権限を細かく設定できません。そのため、特定の人にだけ見せたい情報がある場合でも、すべての情報をすべての従業員に共有されてしまいます。また、検索機能があるため、紙資料よりも情報を探しやすいですが、エクセルに記された文言と同様でなければ検索結果としてヒットしません。たとえば、エクセルに平仮名で記載されていた場合、漢字で検索してしまうとヒットしません。
新しいナレッジマネジメント手法
新しいナレッジマネジメント手法として、ナレッジ共有システムの導入が挙げられます。ナレッジ共有システムであれば検索しやすさ以外にもメリットがあります。
従業員が求めている情報が把握できる
ナレッジ共有システムのなかには、利用者である従業員が何を求めているか分析できるシステムもあります。このようなシステムであれば、利用者に求められている情報や有益な情報の傾向が把握できるため、その後のナレッジ共有・管理にも活かせるでしょう。
従業員の知識も把握できる
従業員がナレッジ共有システムにさまざまな情報を蓄積していくことで、誰がどのような知識、業務に詳しいかを把握できます。これによって、さまざまな従業員に聞きまわるという手間が省け、業務の効率化が期待できます。
検索しやすく業務の効率化が期待できる
ナレッジ共有システムであれば、紙はもちろん、エクセルと比較しても検索精度が高く、求めている情報を検索しやすいというのが特徴です。検索がスムーズに進むため業務の効率化が期待できます。
関連システムとの連携が可能
ナレッジ共有システムのなかには、他の関連システムと連携できるものもあります。販売管理や顧客管理などの業務システムと連携することで、ナレッジをより効率的に活用できるようになります。
顧客への対応も強化
ナレッジ共有システムで顧客ごとの対応方法が蓄積されれば、どの顧客にどのような対応をすればよいかが瞬時に判断可能になります。また、問い合わせごとの対応フローが確立されていれば、経験の浅い従業員であってもスムーズに対応できるでしょう。
新しいナレッジマネジメント手法へ移行するときのポイント
ナレッジ共有システムを採用することで関連システムとの連携をはじめ、さまざまなメリットにつながります。このようなメリットを得るためには、自社に合ったシステム選びのポイントを押さえておきましょう。
自社に合ったシステムを選ぶ
ナレッジ共有システムは自社の目的に応じて選びましょう。たとえば社員の教育を目的としている場合は、社内の研修やトレーニングの様子をテキストだけではなく動画でも共有可能なシステムが適しています。また、専門知識をスピーディーに得られる専門知識型と呼ばれるシステムであれば、ヘルプデスクや専門知識を持つ社員の負担を減らせます。
ナレッジ共有システムは専門知識型以外にも次のようなタイプがあります。
- 業務プロセス型:業務についての知識と流れも共有できる
- ベストプラクティス共有型:モデルとなる優秀な社員の行動や思考パターンを共有できる
- 戦略型:業務プロセスを見える化し、事故やトラブルを事前に防ぐ
使いやすさに長けているか
ナレッジ共有システムに限らず、システムは使いやすいものを選ぶようにしましょう。せっかく導入したにもかかわらず、機能が複雑すぎるシステムや操作しにくいシステムだとシステムが形骸化してしまいます。使いやすさを知るためには、システムの無料トライアル期間を使用して、従業員の試用満足度を調査してみるとよいでしょう。
セキュリティ対策が講じられているか
自社で蓄えたナレッジが漏えいしないよう、情報漏えい対策や不正アクセス対策などセキュリティ対策が十分に施されているシステムを選ぶようにしましょう。ナレッジ共有システムのなかには無料で使用できるシステムもありますが、セキュリティが脆弱な可能性があるため、注意が必要です。
スマートフォンでも使用できる
ナレッジ共有システムは外出先でも使用できるように、スマートフォンにも対応しているシステムを選ぶとよいでしょう。とくに営業担当者が使用する機会が多いシステムであれば、外出中や移動中の時間を活用し、ナレッジの検索や共有、顧客情報などの入力ができます。
【まとめ】
ナレッジマネジメントは専用のシステムを使用してスムーズに
ナレッジマネジメントは属人化を防ぎ、従業員の業務クオリティの均一化を図れます。ナレッジマネジメントを進めるには、エクセルや紙での管理ではなく、専用のシステムを活用しましょう。ナレッジマネジメントの専用システムであれば、いつでもどこでも使用でき、セキュリティ対策も講じられているうえに、使いやすく自社の課題解決につながります。