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コールセンターにおけるCXとは?向上させる3つのポイントも紹介

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新型コロナウイルスの影響により、対面での接触や会話の機会が減少しました。これまで対面営業やリアル店舗などの顧客接点に頼ってきた企業は、改めて顧客コミュニケーションのあり方を問い直す必要があります。ニューノーマルな時代の顧客接点として注目を集めているのが、非対面・非接触での顧客コミュニケーションが可能なコールセンターです。コールセンターのCX(顧客体験)を高めることで、企業イメージを向上させ、自社のファンを育てることができます。この記事では、コールセンターにおけるCXの重要性や、CX改善に取り組むメリット、CXを向上させるためのポイントについて解説します。

コールセンターにおけるCXとは?顧客がサービスを通じて体験した価値のこと

そもそもCX(Customer Experience)とは、日本語で「顧客体験」または「顧客体験価値」といい、顧客がサービスの利用を通じて味わった感動や喜びを表す言葉です。コールセンターに置き換えれば、オペレーターやコミュニケーターのあたたかい応対や、問題解決のスピード、補償やサポートの手厚さなどから顧客が感じ取った体験がCXです。CXは「事前期待」と「結果」の2つの要素で成り立っています。

 

事前期待 顧客がサービスを利用する前の期待度
結果 顧客がサービスを利用した後の満足度

 

もし事前期待が結果を大きく上回った場合は、顧客が感動や喜びを感じ、CXが向上します。逆に事前期待が結果を下回る場合、CXは向上しません。コールセンターのCXを高めるには、顧客がオペレーターやコミュニケーターに抱く期待を上回るような品質のサービスを提供する必要があります。

CXとCSの違いは?CXは顧客目線での満足度

CXとよく似た言葉として、CS(Customer Satisfaction)があります。CSは日本語で「顧客満足度」といい、CXと同様にコールセンターのサービス品質に関わる用語です。しかし、CXとCSには異なる意味があります。

 

CS サービスの利用後、どの程度の満足度が感じられたか
CX サービスを利用する過程で、どの程度の感動や喜びが得られたか

 

つまり、サービスの「結果」に着目し、顧客の満足度を測定するのがCSの考え方です。たとえばアウトバウンド型のコールセンターの場合、顧客対応後の成約率が高ければ、CSが高いと判断することができます。それに対し、CXを測定するときは、サ―ビスの「結果」だけでなく「プロセス」も重要です。アウトバウンド型のコールセンターに置き換えれば、オペレーターの接客や問題解決までのスピードなど、成約に至るまでのプロセスの満足度もCXに大きく影響します。

なぜコールセンターでCX向上が求められるのか?

そもそも、なぜコールセンターでCX向上が求められるのでしょうか。冒頭で述べた通り、ウィズコロナ時代ではコールセンターの持つ顧客接点としての役割が重要になりました。対面営業やリアル店舗などの従来の顧客接点が制限されるなかで、顧客はコールセンターなどの非対面・非接触の顧客接点から、企業の価値を判断しています。そのため、コールセンターのCXが、そのまま企業イメージに大きな影響を及ぼします。コールセンターのCX向上に取り組むことで、競合他社との差別化や、自社のファンの育成が可能です。

コールセンターのCX向上で得られる2つのメリット

コールセンターのCXを向上させるメリットは2つあります。

競合他社との差別化につながる

コールセンターのCXを向上させれば、競合他社との差別化につながります。優れたCXは、オペレーターの応対品質の改善やITシステムの整備などの企業努力によって初めて実現します。そのため、CXには競合他社による模倣が難しいという特徴があります。コールセンターのCXを向上させることで、競合他社にはない強みや付加価値(コア・コンピタンス)を獲得し、自社の競争力を高めることができます。

既存顧客の維持につながる

コールセンターの顧客コミュニケーションをきっかけとして、顧客に感動や喜びを与えることで、自社のファンを育成できます。既存顧客の維持やリピーターの獲得には、コールセンターのCXを高めることが大切です。マーケティングの分野では、客離れを5%減らすことで、25%の利益を獲得できるという「5:25の法則」がよく知られています。コールセンターのCXを高め、自社への愛着や信頼が大きいロイヤルカスタマーを育成しましょう。

コールセンターのCXを向上させる3つのポイント


コールセンターのCXを向上させるポイントは3つあります。まず重要なのが、オペレーターやコミュニケーションの応対品質の改善です。また、問い合わせチャネルを増やすことで、より多様な問い合わせニーズに対応できます。顧客の声(VOC)を収集し、CX向上のための課題やヒントを探すことも大切です。

オペレーターの応対品質を高める

まずは、顧客と直接コミュニケーションをとるオペレーターの応対品質を改善しましょう。そのためには、コールセンター側がオペレーターのスキルアップをサポートする仕組みをつくる必要があります。たとえば、次のようなオペレーターのサポート方法があります。

  • 業務研修を実施し、オペレーターの商品知識やサービス知識を高める
  • スーパーバイザーとの面談を実施し、オペレーターのモチベーションを維持する
  • 定期的にモニタリングを実施し、オペレーターの応対品質にフィードバックをおこなう
  • コールセンターシステムを導入し、オペレーターの稼働率や平均処理時間などのデータを測定する

問い合わせチャネルを多様化させる

近年は問い合わせチャネルの多様化により、電話以外のチャネルに対応したコールセンターが増えています。とくに若い世代の顧客には、メールやチャット、Webフォーム、SNSなど、さまざまな経路での問い合わせニーズが存在します。コールセンターのCXを高めるには、顧客の問い合わせニーズに対応し、多様な問い合わせチャネルを用意することが大切です。実際に、日本コールセンター協会の「2020年度コールセンター企業実態調査」によると、有人チャットでの問い合わせに対応したコールセンターの割合は50.0%、チャットボットでの問い合わせは42.0%と、多くのコールセンターがマルチチャネル化に取り組んでいます。[注1]

[注1] 一般社団法人日本コールセンター協会:2020年度コールセンター企業実態調査
https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2020.pdf

顧客の声(VOC)を収集する

コールセンターのCXを測定する方法として、顧客の声(VOC)の活用が挙げられます。VOCとは、コールセンターに寄せられた意見や問い合わせ、クレームなどをデータ化したものです。コールセンターのCXを改善するには、VOCから顧客の不満やつまずきを抽出し、顧客コミュニケーションを改善していくことが大切です。

【まとめ】

コールセンターにおけるCXの役割を知り、顧客体験価値の向上を図る

新型コロナウイルスの影響を受け、対面営業やリアル店舗などの顧客接点が減少しました。それに代わって、コールセンターをはじめとした非対面・非接触の顧客接点の重要性が増しています。コールセンターのCXを高めることで、競合他社との差別化や、既存顧客の維持が可能です。コールセンターのCXを向上させるため、「オペレーターの応対品質の改善」、「問い合わせチャネルの多様化」、「顧客の声の収集」の3つの対策を実施しましょう。

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