コールセンター業界では、オペレーターやスーパーバイザーなどの人員不足が慢性化しています。コールセンターの人材不足の原因の1つが「離職率の高さ」です。コールセンターの人材不足をそのままにしておくと、業務量の増加や労働環境の悪化を招き、さらなる人材不足につながる可能性があります。コールセンターの人材不足を解消するには、顧客対応のシステム化を推進し、コールセンターの業務効率化を実現することが大切です。この記事では、コールセンター業界の離職率が高い原因や人材不足をそのままにしておくことのリスク、コールセンターの人材不足を解消する方法について解説します。
目次
コールセンター業界の離職率が高い3つの原因
「オペレーターやスーパーバイザーのなり手が少ない」、「採用してもすぐにやめてしまう」という課題を抱えるコールセンターが少なくありません。なぜコールセンター業界は離職率が高いのでしょうか。その原因として、「顧客対応のストレスの多さ」や「オペレーター1人当たりの業務量の多さ」、「テレワーク化が進んでいない」点などが挙げられます。
顧客対応のストレスが多い
コールセンター業界の離職率が高い原因の1つとして、顧客対応のストレスの多さが挙げられます。顧客からの苦情やクレームへの電話対応は現場のオペレーターにとってストレスの大きな原因です。とくにコールセンター業務の経験が浅い新人オペレーターがクレーム対応をすると、自分自身が叱責されているように感じてしまい、メンタルヘルスの悪化につながる恐れがあります。日々、顧客対応のストレスにさらされる仕事だからこそ、「採用したばかりの人がすぐにやめてしまう」原因となっています。
オペレータ1人当たりの業務量が多い
コールセンターの需要は年々増加しています。日本コールセンター協会の「2020年度コールセンター企業実態調査」によると、加盟企業19社のインバウンドコール数は年間55,845,000コールで、前年比256%の増加でした。しかし、コールセンターの総従業員数は235,108名と、わずか15.7%の増加にとどまります。[注1]
このように、コールセンターはオペレーター1人当たりの業務負担が多いため、早期離職の増加につながっています。とくに繁忙期はコール量が急激に増加するため、オペレーターのワークライフバランスが悪化しやすくなっています。
[注1] 一般社団法人日本コールセンター協会:2020年度コールセンター企業実態調査
https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2020.pdf
テレワーク化が進んでいない
働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、テレワークやリモートワークを導入する企業が急増しました。しかし、コールセンター業界ではセキュリティへの懸念や、顧客企業の同意を得られないといった理由から、ほかの産業分野よりもテレワークの導入が遅れています。そのため、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現できず、育児・出産・介護などのライフステージの変化を迎えた従業員が離職する原因になっています。
コールセンターの人材不足をそのままにしておくことの2つのリスク
コールセンターの人材不足をそのままにしておくと、既存のオペレーターの業務負担が増大し、さらなる人材不足につながるという悪循環が生まれます。また、オペレーターが不足するとあふれ呼や放棄呼が増加し、顧客満足度の低下につながる可能性があります。
さらなる人材不足につながる
人材不足の状態をそのままにしておくと、少ない人員で大量のコールに対応しなければならず、ますますオペレーターの労働環境が悪化します。そのため、人材不足がさらなる人材不足につながるという悪循環が生まれる可能性があります。こうした悪循環を食い止めるためには、オペレーターやスーパーバイザーの不満や悩みに耳を傾け、早期に人材不足を解消することが大切です。
顧客満足度の低下につながる
コールセンターの人材不足を放置していれば、あふれ呼や放棄呼が増加し、顧客サービスの質が低下するリスクもあります。
あふれ呼 | コールセンターへの入電数が対応可能なオペレーター数を上回り、お客様からの電話がつながらない状態 |
放棄呼 | オペレーターへの電話がなかなかつながらないため、お客様が電話を切ってしまう状態 |
あふれ呼や放棄呼が増加すると、機会ロスにつながるだけでなく、コールセンターの利用者の満足度が下がります。また、オペレーターにつながるまで長時間待たされた顧客が、苦情やクレームをオペレーターにぶつけ、オペレーターのストレス増加につながる可能性もあります。このようにコールセンターの人材不足は、従業員満足度と顧客満足度の両方を低下させる可能性があります。
コールセンターの人材不足を解決する3つの方法
コールセンターの人材不足を解消するには、「顧客対応のシステム化」が必要です。オペレーターを増員しても、オペレーターの労働環境が改善されなければ早期離職につながります。また、オペレーターの増員には人件費もかかります。IVRや有人のチャットサポート、FAQ管理システムやチャットボットシステムなどのITツールを導入することで、オペレーターの業務量を減らし、労働環境を改善できます。
FAQ管理システムやチャットボットシステムを導入する
FAQページやチャットボットを充実させれば、顧客が疑問や悩みを自分で調べて解決できます。結果として、コールセンターへの問い合わせ量が減少するため、オペレーターの業務負担を軽減できます。FAQページとチャットボットは、想定される問い合わせ量によって使い分けましょう。
問い合わせ量 | おすすめのツール |
50件~300件 | チャットボットシステム |
300件以上 | FAQ管理システム |
有人のチャットサポートを導入する
無人のチャットボットシステムではなく、有人のチャットサポートシステムを導入するのもおすすめです。チャットサポートなら、一対一でのやりとりがメインの電話対応と違い、1人のオペレーターが複数のお客様に対応することが可能です。また、電話対応よりも1回あたりの問い合わせ対応時間が短いため、業務効率化につながります。有人のチャットサポートシステムを導入し、問い合わせチャネルを多様化させることで、コールセンターへの入電を減らす効果も期待できます。
IVR(Interactive Voice Response)を導入する
IVRとは、顧客からの電話に自動音声で応答し、適切な問い合わせチャネルへの振り分けを行うシステムです。IVRを導入すれば、オペレーターの業務負担を軽減できます。たとえば、定型的な問い合わせであれば、AIを利用した自動音声案内で応対可能なため、オペレーターが電話対応を行う必要がありません。また、スマートフォンで利用可能なビジュアルIVRなら、より簡単に顧客をFAQページやチャットボットへ案内することもできます。
【まとめ】
コールセンターの人材不足を解決するため、顧客対応のシステム化に取り組もう
コールセンターの離職率が高い原因は「顧客対応のストレスが多い」、「オペレーター1人当たりの業務量が多い」、「テレワーク化が進んでいない」の3つです。人材不足の状態をそのままにしていると、既存のオペレーターの業務量が増加し、さらなる離職率増加につながる恐れがあります。コールセンターの人材不足を解消するには、IVRやFAQ管理システム、チャットボットシステムなどのシステム導入が効果的です。コールセンターの人材不足に悩む方は「顧客対応のシステム化」に取り組みましょう。