「バックオフィス」は、総務や庶務、経理や財務、人事や労務、法務といった企業を支える部署の総称です。バックオフィスには企業活動を継続するうえで欠かせない役割がある一方で、定型業務が多いため、業務効率化の伸びしろが多い部署でもあります。今はバックオフィスの業務負担が小さくても、今後会社が成長していくにつれて、だんだん肥大化します。とくにバックオフィスと、顧客と直接関わるフロントオフィスが混在している企業は、バックオフィスとフロントオフィスを切り分け、業務効率化に取り組むことで、より企業活動に貢献できるでしょう。この記事では、バックオフィス業務の重要性、効率化のメリットや方法を解説します。
目次
バックオフィス業務はなぜ重要?企業を支えるバックオフィスの役割を解説
バックオフィス業務とは、総務や庶務、経理や財務、人事や労務、法務など、企業活動の後方支援を担当する部署のことです。企業活動の機能は、「生産機能」「販売機能」「事務・会計機能」の3つに分けることができます。
生産機能 | 企業が市場に提供するための製品製造やサービス開発を行う |
販売機能 | 商品やサービスを販売・営業し、需要のあるマーケットに流通させる (フロントオフィス業務がふくまれる) |
事務・会計機能 | 生産や販売に欠かせないお金の管理や事務手続きを行い、生産機能や販売機能を支える (バックオフィス業務がふくまれる) |
バックオフィス業務は企業活動の3つの機能のうち、「事務・会計機能」にあたります。バックオフィスは顧客と密接に関わるフロントオフィスと違い、直接利益を生み出すわけではありません。しかし、企業の「生産機能」や「販売機能」を支え、企業活動を継続していくうえで欠かせない働きを担っています。
バックオフィス業務に分類される4つの職種
バックオフィス業務には、大きく分けて4つの職種がふくまれます。「経理・財務」「人事・労務」「総務・庶務」「法務」の特徴を順に解説します。
企業のお金の流れを管理する「経理・財務」
経理・財務は、企業のお金の流れを管理し、財務会計を健全に保つための部署です。経理部門は、日々の入出金管理や、貸借対照表や損益計算書の作成を担当し、企業のキャッシュフローを管理します。一方、財務部門は社債発行や銀行融資といった手段で資金調達を行い、将来の円滑な企業活動のためのお金の管理をサポートします。経理・財務ともに請求書などの紙の書類の管理や、消込作業のような手作業が多く、バックオフィス業務のなかでも業務効率化のメリットが大きい部署です。
社員のサポートや評価を行う「人事・労務」
人事・労務は、企業で働く社員のサポートや評価を行います。人事部門は、採用活動や社員教育、社員の業績や能力、働きぶりを評価する人事評価を行い、社員と直接関わる仕事をします。一方、労務部門は給与計算といった業務のほか、社員が健康に働けるよう、社員の福利厚生管理や労働安全衛生管理を担当します。
種々雑多な事務作業を担う「総務・庶務」
総務・庶務は、日々の企業活動で発生する種々雑多な事務作業を担います。総務部門では、重要な業務として株主総会や取締役会の運営、内部監査の実施、オフィスの情報セキュリティ対策などが挙げられます。一方、庶務部門は総務部門よりも細かな業務を担当します。たとえば、オフィスの設備管理や備品管理、代表電話の対応、資料作成、資料のファイリング、お歳暮やお中元をはじめとした渉外業務などが一例です。
法やコンプライアンスの面で企業活動を支える「法務」
法務は、法やコンプライアンスの面で企業活動をサポートします。取引先と取り交わす契約書のリーガルチェックや、法的観点からの社内規定の整備、コンプライアンス対応やリスクマネジメントが法務部の仕事です。法務の仕事は専門性が高く、弁護士や行政書士にアウトソーシングを依頼する企業も少なくありません。
バックオフィス業務を効率化する2つのメリット
バックオフィスは定型業務が多く、業務効率化の伸びしろが大きな部署です。バックオフィス業務の効率化に取り組むことで、2つのメリットが得られます。
人件費をはじめとしたコスト削減につながる
バックオフィス業務を効率化することで、人件費をはじめとしたコスト削減につながります。たとえば、経費精算システムの導入によるデータ入力業務の自動化や、紙の資料のペーパーレス化を推進することにより、同じ業務をより少ない人員で対応できるようになります。オフィス縮小などによる人件費削減のほか、印刷代やコピー用紙代など、消耗品費の削減も可能です。また、バックオフィス業務のアウトソーシングを進める場合は、固定費である人件費を業務量に応じた変動費に転換できるなど、さまざまな手段でコストカットが可能になります。
ヒューマンエラーを防止し、生産性を向上させる
バックオフィス業務の効率化により、ヒューマンエラーを防止し、生産性を向上させられます。また、消込作業やデータ入力業務など、手作業が多いバックオフィス業務は、ヒューマンエラーの温床でもあります。バックオフィス業務をデジタル化することで、こうした手作業によるヒューマンエラーを防げます。それだけでなく、バックオフィス業務の生産性を向上させることは、現場の業務負担を減らし、社員のワークライフバランスの改善にもつながります。また、バックオフィスの人員をより企業価値につながるコア業務に転換することも可能です。
バックオフィス業務を効率化する2つの方法
それでは、どのような手段でバックオフィス業務を効率化することができるのでしょうか。バックオフィス業務を効率化するポイントを2つ紹介します。
アウトソーシングを利用する
まずはバックオフィス業務をアウトソーシングし、時間がかかったり、専門性を要する業務を他社に委託する方法が挙げられます。手数料はかかりますが、自社の人的リソースを使わず、バックオフィス業務の効率化が可能です。消込作業やデータ入力業務などの定型業務は、BPO企業(ビジネスプロセスアウトソーシング企業)に委託するのが一般的です。一方、リーガルチェックなどの専門性の高い業務は、弁護士や行政書士などの専門家にアウトソーシングしましょう。
クラウドサービスの導入による業務自動化
さまざまなシステムベンダーが、総務や庶務、経理や財務、人事や労務、法務などの業務に対応したクラウドサービスを開発しています。クラウドサービスを導入し、バックオフィス業務をデジタル化することで、生産性の向上やヒューマンエラーの防止が可能です。代表的なクラウドサービスとして、定型業務をロボットが模倣し、自動化するRPA(Robotics Process Automation)や、さまざまな部署の基幹業務を1つの管理画面で一元管理するERP(Enterprise Resources Planning)があります。
バックオフィス効率化ならナレッジ共有システムの導入がおすすめ
バックオフィス業務の効率化をお考えなら、ナレッジ共有システムの導入もおすすめです。ナレッジ共有システムとは、社内のノウハウやスキル、顧客情報、顧客からの問い合わせなどをシステム上で一元管理し、共有できるサービスです。代表的なナレッジ共有システムとして、FAQ管理システムがあります。ナレッジをFAQ(よくある質問)の形式で蓄積し、社員1人ひとりがいつでも見られるようにすることで、バックオフィス部門への問い合わせなどを減らし、業務効率化の実現が可能です。
【まとめ】
バックオフィス業務の重要性を知り、業務効率化への取り組みを
総務や庶務、経理や財務、人事や労務、法務といったバックオフィス業務は、企業活動を支える重要な役割を果たしています。バックオフィス業務は手作業や定型業務が多く、業務効率化の伸びしろが多い部門でもあります。アウトソーシングの利用や、クラウドサービスの導入、ナレッジ共有システムの活用により、バックオフィス業務の効率化に取り組むことが大切です。